匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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っ、……ご、ごめんなさい……?
( 貴重な白磁が木製のテーブルを打つ剣呑な音。そして、目の前の男が珍しく必死に言い募る剣幕に、どうやら間違った提案をしたらしい、ということは認識しつつも──"この状況"って、状況によるものなの? と。むせるギデオンの弁明を、実質、"今では無いが、ことと次第によっては有り得る" といった宣言として受け取れば。年上男の涙ぐましい価値観のアップデートも虚しく、あまりの勢いに小さくのけ反り、目を白黒させる娘の中で、哀れベテラン剣士の前時代的なイメージがここで刷新されることはなく、これから数ヶ月後の秋の夜、犬も食わない一騒動を起こすのは別のお話。現時点ではそんな幻滅する可能性さえ孕みこそすれ、プラスの評価になることではなかろうに、自分でも気が付かないうちに完璧では無い、不安定な危うさを抱える相手から目を離せなくなっていったのはこの頃からだったのかもしれない。 )
…………そこまで仰るなら。
( そうして、「本当に、どこもお辛くないんですね?」と、相手の真剣な眼差しに今度はこちらが根負けすれば。その渋々といった表情からは──屋外って言ったってすぐそこの庭先なのに、といった不満がありありと読み取れるあたり、結局お互い自分の大切に仕方を知らない似た者同士なのだ。
重い素材の詰まった木箱を、強情な相手と取り合いながら庭に戻り、試作も含めて様々な調合を試すこと複数回。やっと納得のいった調合に、コトコトと良い音を立て始めた鍋を確認し、少し離れてギデオンの隣にそっと静かに腰掛ければ。普段の就寝時間を大幅に廻った時間帯、オレンジ色に染まった顔を、揃えた両手でお行儀良く隠すと、これまた無音でくぁりと小さく欠伸して。 )
……、
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