匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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……ずっと、内勤だったんだ。毎日休んでたようなもんだろ……
(切株に背を預け、うら若いヒーラー娘に大人しく服を剥かれて介抱を受けながら、いかにも捨て鉢な呻き声を。これが暴論に聞こえることは、こちらも渋々承知している。だが剣士の己に言わせれば、素振りもせずにただ大人しくする日々こそが拷問で、せめて自分が抜けた分の穴埋めでもこなさなければ、気が休まりそうになかった。……とはいえ、「もっと具体的に」とヒーラーに請われたならば、一瞬押し黙ってから、薄青い目を露骨に逸らし。「持ち出せる書類は全部自宅に持ち帰ってた」、「日中まともに疲れないから、一日四時間も眠れちゃいない」と。要するにこのところ、相手の思う休息など一日たりとてとれていないと、ここでようやく認めたものの。)
余計な心配はしないでくれ。
──元々不眠の気があって、ドクターの出す睡眠薬も碌に効いたためしがないんだ。
(さらりと告げたその台詞は、相手に初めて打ち明ける、自分自身の弱みのひとつだ。──冒険者ギデオン・ノースは、元からこういう生活だった。十年ほど前、一睡もできない日々が長く続いていたせいで、それが随分和らいだ今も、そう長くは眠れない。だから無理に仕事を詰めて自縛したわけではなく、休もうと思っても休めない体質なのだと。それなら余程、無為に過ごすより何かした方が有益だ、それを否定しないでくれ……と。はだけた襟元から覗く傷の熱が映ったのか、どこかぼんやりした目つきでヒーラーを見るまなざしは、不調への苛立ち以上に、普段なら見せないような、仄かに弱々しくすら見える懇願の色が滲んで。)
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