匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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馬鹿言え、まだ百年早い!
(幸運さえも味方につける魅惑のヒーラー娘を前に、即座にその手を振り払い、噛みつくような一声を。しかしその次に「帰れ!」と命じるわけでもなく、苦々しい顔を浮かべて頭を抱え込みだしたのは、どうやら相手の正道さを否定しきれないかららしい。
──出動許可証に記された指定条件、その小狡い拡大解釈。それは世知に長けたベテラン勢が好んで用いるやり口で、今回のギデオンもまた、“担当治療官”が多忙という名目のもと、義務付けられた診察を帰還後に回すつもりだった。だがその治療官本人が、こうしてわざわざ自分の許可証まで携えてすっ飛んできてしまったとなると、当然話は別である。ギデオンに許されるのは、本来ギルドの専属医がそれで良しとした条件通り、クエストの進行中に治療を受けながらの出動のみ。第一、後輩冒険者が志願し、ギルドも許可を出した以上、こちらがきちんと現場に連れていってやらねばそれこそいよいよ規律違反だ。それに相手の指摘通り、想像以上にとんとん拍子で自分が出動できたのは、おそらく裏で相手の出動許可も同時進行していたから、つまり借りがあるわけで……
そこまで考え至っては、眉間の皴を深めに深めて大仰な溜息をひとつ。「……余計なことを」とぼやきながらもようやく諦め顔になって、ちょうど到着した馬車に先にさっさと乗り込んでしまう。だがそれでも、ただ根負けしたなどと思われるのは癪であると言わんばかりに。奥の席へと陣取ると、「捜索任務の経験は」「亜人討伐の心得は?」と、揺れる車中で次々に心構えを試す真似をすることしばらく。ふと真横の窓を見て、流れていく外の景色をやや無言で眺めれば、いつぞやの船上をふと思い出したように呟き。)
……今回のクエストは、完全に森の中だ。火属性は使えないし、おまえがグランポートで高めた水魔法も分が悪い。
いちばん良いのは土魔法だ──今、おまえは何が使える。
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