匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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あら! ギデオンさんだけのために持ってきたんじゃないですよ、皆さんもいかがですか?
( 目の前の男の見慣れぬ醜態に驚いたのも束の間。珍しい反応を見せたギデオンに、すっと普段の強気を取り戻せば。その風体を心配こそすれ、自分でも不思議なほど、相手が懸念しているような幻滅の念などは一切なく。案の定と言うべきか。苦しげに聞きなれた拒絶の言葉を吐く年上男に、此方も用意していた文句で応戦すれば。思わぬ方向から飛んできた援護射撃にに、「お任せください!」と勝ち誇った笑みを浮かべたかと思うと、書類の束から漏れた1枚をさっと拾って人質にとる周到さで。そうして、錚々たる顔ぶれに日和るどころか、「その、お茶はお済みなら、一応軽食も持ってきたんです」と、丁寧に保存魔法をかけられた人数分より少し多いサンドイッチを配り終えると。「そこで買ってきたものですけど、皆さんもご無理なさらないでくださいね」と、残された幹部達にも眉を八の字に下げてみせる様から察するに。決して先程の文句も、ただギデオンをやり込める為だけの方便という訳でもないようで。
その証拠に二人きりの時間に浮かれるどころか、部屋を出た後も。うら若い娘の表情に浮かぶのは、一刻も早く診療を終わらせ、この貴重な時間内に一秒でも長く相手を休ませてやらねばというヒーラーとしての責任感で。念の為に診療道具も持ってきておいて良かった、と。隣の部屋に移るなり、どうでも良さそうに持っていたトレーをあっさりとその辺に追いやり、近くの椅子を引きながら、疲労の剣士に促せば。顔色の悪い意中の相手を目の前にして、混乱中の相手とは裏腹に、そこへ何か甘ったるい感情の入り込む余地など微塵もなく、その直截な要求にギデオンが怯みでもすれば──きょとん、と首を傾げて見せるだろう。 )
じゃあギデオンさん、肩を脱いで見せていただけますか?
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