匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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あっ……駄目!! ちゃんと見せてください!!
( 取り上げられた契約書を取り返そうと、どたばたとベッドに乗りあげたところで、渡す気のない相手に此方が適うはずもなく。二人のことなのに──と、柔らかい寝具の上、体育座りの要領で長い足を畳みながら、「"わけがない"なんて、誰が決めたの」と小さくむくれてみせれば。しかし、そうして見上げた蒼い瞳に、悪気どころか、ビビを喜ばせようとしていた困惑しか見て取れないことに気がつくと、仕方なさそうにゆっくりと相手の隣に腰を下ろし直して。 )
ギデオンさんにとって、私はまだ先生の子供なの?
そうじゃなくて対等な……恋人、でしょう?
( こほん、と言葉足らずな恋人を諌めるべく、居住まいを正したところで。自分で発した甘い単語に嬉しくなって、にこにこと勝手に機嫌を直しているのだから世話がない。座り直した際に触れた小指を嬉しそうに見つめ、その少し乾燥した分厚い掌にちゃっかりと自分のそれを重ねると。「ギデオンさんの方が、余裕をお持ちなのは分かってます」「でも、私達ふたりの生活ですもの。……最終的に折半じゃなくなったとしても、私もちゃんと関わりたいんです!」と、その瞳を真っ直ぐに見つめてみるが、果たして過保護な相手にどこまで通じたことか。ふっと一瞬瞼を閉じたかと思うと、すぐさま爛々と強欲に輝くエメラルドを覗かせて。 )
それにね、私、ギデオンさんがしてくださったことは、どんな事でも覚えておきたいの!
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