匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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……っ、!
( ──己の判断ミスが今、こうして他でもないギデオンを流血させるに至っている。もろに熱波を喰らったのだろう。鼻や口からの血だけでは無い、ビビを庇い、その凛々しい表情を赤く上気させたギデオンを目の前にして。最早思考するより早い治癒魔法と共に、請われるがまま施した守護魔法は、ただひたすらに相手の無事を祈るもので、決して愛しい人を死地に向かわせるためのものでは無かった。しかしビビがかけた守護魔法を確認するやいなや、真っ直ぐにウェンディゴへと向かっていくギデオンに、やっと自分の判断が間違っていたこと。自分の思い上がりが相手を傷つけたことに気がつけば、全てを投げ出して悲愴に嘆き沈み込みたくなる思考を、今は無理やりにでも振り払う。──後悔している暇などない、自分が招いた事態だからこそ、無事にギデオンさんを帰さなくては。そう構え直した魔法の杖で、相棒に降りかかる火の粉を丁寧に払いながらぐるりと周囲を見渡せば──見つけた! と、激しくとぐろを巻きながら燃え上がる火炎のその奥に、時たまぐらりとよろめきながら満身創痍で赤い波を掻き分けていくエデルミラを発見すると。ギデオンがウェンディゴを討ち漏らすなど微塵も思わぬ素振りで、危険な魔獣のその隣を真っ直ぐに駆け抜けて。 )
エデルミラさん! ……エデルミラさん!!
お願い、こっちを見てください!!
( 今はギデオンに集中しているとはいえ、いつウェンディゴの注目がエデルミラに移るか分からない。ギデオンが魔獣の動きを止めてくれた今のうちに、手負いの女を花の影に隠そうとして。しかし何度呼び掛けても反応がない女剣士に、半ば体当たりするかのような勢いで飛びつくも、ギデオンにそうした時よりは劣るとはいえ、鍛え上げられた隙のない体躯は一瞬小さく揺らいだだけで、その歩みを止めてはくれない。それどころか、ビビを認識するような素振りも見せずに、何やらブツブツとよく分からない呪いのようなものを垂れ流しながら歩き続けるエデルミラに、引き摺られるような形でかじりつけば。最悪なタイミングとは重なるもので、「うわああッ!? 火が!!!」「花が……花が!!」「お前らがやったのか!?」と、正気を失った女剣士と、彼女を止められるずにかかりきりになっているヒーラーの前に現れたのは、各々額や首筋、腕などに赤い魔核を携えた村人達で。「だめっ……!」と、無力な自分に思わずあげたその声は、果たしてエデルミラに掛けたのか、それろも噎せ返るような花の香りと満月の下、その肘から何やら仰々しい腕を伸ばした村人達が、その目から次々に正気の光を失ってその姿にかけたものだったか、 )
……だめっ、だめ!! 止まってよぉ!!
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