匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──はいっ!
( それはただでさえ行動の読めない村民を、さらに撹乱するという危険な作戦。しかしそんな大胆な作戦も、この人が言うならできるのだろう。そんな信頼溢れる瞳を輝かせ、ぴんとたった赤い耳を元気に震わせ頷き、村の方へと探し歩けば。儀式の直前とはいえ、先程も村の男達が訪れたばかりだ。悪いことに村からこちら側には、この隠された養蜂場以外にめぼしいものは何も無く、ここで見つかれば言い訳ができない。故に二人が村から養蜂場への最短ルートを避けるように、村への帰路を少し遠回りしても尚。その聞きなれた大音声のお陰で、話題の相手はすぐに見つかり。
そうして戻った小屋へと軽い防音魔法を施し、養蜂場で見聞きしたそれを伝えると、さしもの名物教授も流石に驚いた様子を隠せない様子で。しかし、ふと何か逡巡した様子で唇を噛むと「……なら、こちらはお役にたちそうでしょうか」と、広げてくれたのは"採掘場"の名を冠した──「地下洞窟の地図じゃないですか!?」そんなビビの声には誇らしそうに胸を張るくせして、ギデオンがそれを覗き込もうとすれば居心地悪そうにそわつくのだから難儀な御仁だ。「ひっ、いやまあお二人のお話を聞く限り、巧妙に嘘をつかれてる可能性ははぁっ、でも一応こうなる前に聞いたものですよ……」と時折。具体的にはギデオンが身動きする度、声を裏返していたものだから。ギデオンがその作戦を発した途端、とうとうフリーズしたかの如く動かなくなってしまった教授に、まさか仕事中のギデオンの生声に感極まってしまったかと心配したビビは悪くないはずだ。とはいえ、これでも一応この分野では無視できない影響力を誇るレクター教授は。(決して推しのご尊顔の良さにうち震えていただけではなく、)いくら複数の村民達が犯罪に手を染めてるとはいえ。おそらく無関係な村民達も代々大切にして来た、結界への信頼を揺るがすような大それた行為に息を飲んでいたらしい。「……でも、それしか、ないんですね」と苦しそうに頷いてくれたレクターに、ギデオンと視線を合わせて頷き合うと。夕方の儀式に向け小屋の外から声がかかったのは、大方の作戦を共有し終わったその時だった。 )
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