匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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ぁ……ひゃっ、ギデオンさん……!?
( 人体の急所でありながら、擽られると特別弱い、首筋の柔らかい部分に、ギデオンの高い鼻が当たり、少しかさついた唇が触れる感覚に、それまで爪を立てられようが、髪をぐしゃぐしゃに掻き回されようが、無邪気にきゃあきゃあと喜んでいた娘の身体が、ぴくりと跳ねる。季節は真冬、そしてあれから一度、村民の好意でシャワーを浴びたとはいえ、それも既に数時間前のこと。生暖かい吐息がぬるりと当たる感覚に、「やぁ……かがなッ」とそこまで漏らして、"嗅がないで"という単語の持つ艶めかしさに怖気付くと、先程までの余裕は跡形もなく吹きとび。先程のギデオンより余程のぼせ上がり、真っ赤になって瞼を伏せ、いじらしく恥じ入る娘が残るのみ。遅れて、がっちり固められた腕から逃げ出そうとしても、首筋をなぞるギデオンの吐息に力が抜けてままならず。この場から逃げ出したくなる本能とは別に、こうして甘えてくれたギデオンを受け止めたい理性がまた、余計に混乱を助長するようで。時折、たまらぬこそばゆさに反応しかけて、その都度ぐっと堪えながら、ぼんやりと熱に浮かされた瞳で、その金色の頭をふわふわと撫でること暫く。
──ギデオンの呼吸が深いものとなって、どれくらいの時間がたっただろうか。それはギデオンが自然と理性を取り戻した数分後のことだったか、それとも、とうとう宴も終わってしまった頃合だったか。思わぬ距離感に混乱しきって思考を手放し、腕の中の相棒をひたすらに柔らかく撫で続けていた娘は、その太い腕が緩んだ隙を逃さず、まるで尾を踏まれや猫のように跳び上がると。普段はその尻尾を悠々とたなびかせている深紅のマフラーを、己の肩から耳元にかけ、ぐるぐると勢いよく巻き付け、体育座りの要領で勢い良く顔をうずめる。そうして、「……ッ、」と声にならない悲鳴を、自身の膝に吸い込ませてから、そのマフラーに負けず劣らず赤い顔をおずおずと上げると、潤んだ瞳をギデオンに向け。その分厚い胸板に向けて、力のない拳をぽこんぽこんと振り下ろしたかと思うと。ゆるゆると下ろした拳を開いて頬を覆い、真面目な顔で全く説得力のない釘を刺し )
──……くび、弱いからだめ、です!
そ、れに…………かっ、嗅……ぐのも駄目!
こんなの……もう、ほんとにお疲れの時だけですからね……、
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