匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──……ギデオンさん。お顔、見たいです。
( まさか遮られるとは思っていなかった発言に、当初、ビビのエメラルドグリーンの瞳は、真剣に驚いた様子でまん丸に見開かれる。慌てて口を噤みながら、次に考えたのは、カーティスが何らかの不正や間諜を犯している信用に足らない人物である可能性。そんな風にギデオンのたった一言で、親交深い相手でさえ、迷いなく疑いの目を向けられる程、ギデオンのことは深く、第一に信頼し尊重しているうえに、──そもそもビビがカーティスと気軽に付き合えるのは、彼には大切に愛してやまない婚約者がいるからだ。ということは、ギデオンだって知っているだろうに。──未だ記憶も新しい。"誰にも盗られてくれるな"と、そう言ってくれた愛しい人が連ねる言い訳に、相手の態度の原因が、もっと私的なそれに聞こえるのはビビの自惚れだろうか。
そっと相手から手を離して、自身の獲物へ手を伸ばし、ビビがふわりと腕を振るうと。宴と二人の間に枝をもたげていた枯れ木に葉が茂って、宴からの視線を上手く遮ってくれる。そうして、真摯なお強請りに相手が此方を見ようと、見なかろうと。硬い太腿に添えた手に体重を寄せ、その唇で相手の頬を奪うと。「あの、勘違いだったらごめんなさい」と、膝立ちになって相手の頭へ腕を回せば。「確かに、カーティスとは友達ですけど、私が好きなのはギデオンさんだけです」と、あくまで誠実に答えながら、その透き通った金髪をサリサリと梳き。それから暫く、"応えられなくとも、拒まれない"ならば、金色の頭を撫でながら、「好き」「大好き」「愛してます」と、足りていなかったらしい愛情を、これでもかと時折キスにして注ぎ込み。ゆっくりと腰を下ろしながら、その薄青い瞳をうっとりと覗きこめば、おもむろに髪紐を解いたことで、ホワイトムスクのような清潔で甘い香りがふわりと周囲に広がって、 )
…………ね、昼に言ったご褒美、今、くれませんか。
最近、あんまり撫でて下さらないから、寂しいです……
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