匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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おお……どうした……?
(救世主が来てくれたと言わんばかりの縋るようなまなざしに、ギデオンを盾にしての、やけに滑稽で愛くるしい威嚇。そちらを肩越しに振り返り、穏やかに落とした声には、困惑と笑みの気配が滲む。しかし、普段は気の強い相棒がぷるぷる震えていることを鎧の隙間から感じ取れば、必死な事情を察せようか。これまた意外そうに吹き出しつつも、寄ってたかっているカヴァス犬たちの注目を集めるようにして、己のがっしりした体躯をしゃがませ。ぎでおん! ぎでおんだ! と一斉に鼻面を寄せる獣たち、そのやや皮余りした首周りを、よしよしと揉みほぐしてやる。──このカヴァス犬たちとて、“ベテラン冒険者”の一んだ。いざ仕事に入ればきりりと引き締まるのをギデオンは知っているのだが、オフのときはどうにもこれである。主人であるテイマー以外の人間にも撫でてもらえないとなると、如何にも哀れっぽくくんくん鼻を鳴らすのだ──犬好きの人間はそれに弱い。「ん? どうだ、ここがいいのか」「おまえら、職業犬なんだから……こんなに懐っこいようじゃ駄目だぞ」なんて。柔らかな声をかけながら、そうしてひととおりあやして満足させれば、リードを握っていたテイマーたちに目配せして、ようやく彼らを引き上げさせる。そうしてゆっくり立ち上がりながら、笑んだ目で相棒を振り返る。これから大掛かりな討伐作戦だというのに、朝から随分可笑しな光景を見たものだ。)
意外だな、おまえが犬も苦手だったとは。
ああいう家畜動物の扱いも得意かと……
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