匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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(肩口に熱く吹き込まれる吐息が、少し和らいだかと思われたそのとき。ギデオンが思わずその名を口走るなり、かくん──と。折れるように、或いは跳ねるように、ヴィヴィアンの身体がわかりやすく反応し、それまで絡み合っていた魔力弁が呆気なくほどけてしまった。自然、目を閉じて快楽を追い求めていたギデオンも、まだ息の浅いまま、腕の中の恋人を無意識に抱きとめたまま、再びぼんやりと彼女を見つめ。──余裕がなくて気づかなかったが、今の数十秒ほどの間、相手はギデオン以上にたっぷり蕩けきっていたらしい。その余韻が未だ色濃い花のかんばせが、それでも今や羞恥の色に取って代わられ、明らかにおろおろと恥じ入っている様子である。妙な反応を示したことではなく、些細な何がしかに強く反応してしまったこと、そちらに混乱しているようだ。……その、純真無垢ゆえ大きくズレた、可笑しな慌てようを見て。ギデオン自身、相手に溶け入っていた気持ちよさに未だまだぼんやりした面差しのくせに。「……っふ、」と、いつもの自分を取り戻したの如く、顔をくしゃくしゃにして笑い始め。)
っく……“腰を抜かした”か……そうか、そうだろうな。くくっ……
(無論、呆れちゃいない。呆れちゃいないが──まったく、随分と可愛らしい表現をするものだ。「悪い、悪い」と白々しく謝りながら、不安げな様子が可愛かっただけだ、別に何もおかしくないさと、安心させるように言い聞かせて。……今のが何に等しいのか、今この場で教えてしまうのは、内心躊躇われた。あの怖がりなヴィヴィアンが、“これ”となれば、こんなにすんなりギデオンを受け入れてくれたのだ……少しの不安も抱かせたくない、この先も安心して身を委ね続けてほしい。故に、ほどほどで笑いの発作を収めると、まだ足腰に上手く力が入らないだろう相手を、しっかりと支え直し。余韻の残る左手で、相手の愛らしい額を二、三撫でてやりながら、酷く満ち足りたような声で、強請るような物言いを。)
なあ、今の……良かったな。
やり過ぎると体に毒かもわからないから、弁える必要はあるだろうが。
帰ってからも、また時間の取れる時にでも……もっとゆっくり、おまえと試したい。……いいか?
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