匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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( 前髪を梳く優しい指先と共に発されたのは、少し意外そうな口ぶりのそれ。皆と過ごしたグランポートが楽しすぎて、日常に帰るの最後の夜を眠って過ごすのが勿体なかった……なんて言ったら、子供のようだと呆れられてしまうだろうか。そう無言でただ小さく微笑み、私だって夜更かしできるんですよ、というふうに。けれども、どうしようもなく安心してしまう相手を目の前にして、少し眠そうな目を閉じ胸を張って見せれば。スカーフへと手が伸ばされる感覚に、何処か得意げな表情が益々誇らしげに綻んで、ギデオンに触れられていない方の耳がぴこりと元気よく揺れるだろう。 )
私も、会えると思ってなかったから嬉しいです。
髪飾り、本当にありがとうございました……そうだ、今お時間ありますか?
( そうして、ギデオンの穏やかな声音に、にっこりと人懐こい笑みを返し。触れられているのは擬似耳にも関わらず、相手の指に擽ったそうに小さく首を竦めれば。頭上のそれにはっと瞳を丸くして、「本当は家に帰ってから渡すつもりだったんですけど」と、腰に括りつけた袋から、小さな包みを相手に差し出すだろう。グランポートの海を思わせる、深い蒼色の包みの中身は、一見ただの白く美しい巻貝。一番最近増えたヴィヴィアンの宝物、今頭上で揺れる紅いスカーフと翡翠の簪のお礼を考えた際、今までの経験上、ギデオンが喜ぶものと言えば、美味しい物か、美味しい物か、美味しい物か──……。その大きな口を開いて嬉しそうに頬張る恋人は愛しい限りだが、簪の価値を思うと、お礼が食べ物では流石に……と思い悩んでいたその時。もう一つ目の前の相手に分かりやすく"喜んでもらえるモノ"の存在を思い出せば、勢いのままに用意してしまったのだが、果たして。一晩かけて探したグランポートの浜できっと一番美しい真っ白な貝殻、ビビの魔素を込められて、任意のタイミングでその魔素を解放できる作りになっているそれは。最終的には任意の魔法を誰でも使えるようにするのが目的の試作品だが、魔素の相性の良いギデオンならば、多少の回復とビビの気配を感じるには充分な代物だろう。そんな、自らで自らの価値を高く見積もるような贈り物に、説明しながらやはり恥ずかしくなって口を噤むと。その視線をギデオンから逸らして、暗い水面に投げかけてしまって、 )
職人街の……ほら、前に紹介してくださった──カイロのことを話したら、もっと魔法を色んな物に保管して持ち運べたらって話になったんですけど。ん……と、説明が難しいな……それはまだ試作品なので魔素が魔法になってくれないんです。
でもほら、ギデオンさんなら私の魔素だけでも……また明後日から忙しくなるんでしょう? 遠征中とか、少しでもギデオンさんが休めたらいいなって思ったの、
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