匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──ギデオンさん、こんにちは!
この本は……ふふふ、
( 白い肌に薄く散りばめられた星屑と、つんと尖った桃色の唇。普段は燦然と煌めく大きな瞳が、手元の本に向けられた静謐な表情は、しかしギデオンの声に気づいた途端吹き飛んで。少し気恥しそうな、しかし、相手に会えたことが嬉しくて堪らないといった眩しい笑顔が満面に綻ぶ。「わあ、可愛いお花。ありがとうございます!」なんて軽く手を叩きながら、これからする真剣な話題に、居住まいを正し表情筋を引き締めようとするも。これ以上なく幸福な報告に、自然と頬が緩んで、ギデオンの顔を見るだけで、堪えきれない笑みが口の端から漏れ出す始末で。そうして、当初想定していた真面目な雰囲気での報告を早々に諦め。ギデオンの肩そっとへ、その形の良い頭を自然に預ければ、ギデオンも言及した手元の鈍器……及び、『人体における魔素の機能と魔学註解』から取り出したのは、ビビの署名が成された魔髄提供の同意書で。)
この前、ギデオンさんが言ってた子達がいるでしょう?
その子たちの回復に、私の魔髄が役に立つって教えて貰ったんです。
( 同意書に記された手術の日程は、今日の二日前。そのやたら仰々しい文体のそれをぺらりとギデオンに握らせ。相棒がそれに目を通している間に、二人分のお茶を入れようと、ベッドの脇の戸棚にぷるぷると手を伸ばしたその瞬間だった。窓の外から聞こえてきたのは、それはそれは楽しそうな甲高い少年の笑い声。タイミングの良いそれに、にんまりと笑って、相棒を振り返ると。そのほっそりとした白い足を、徐ろにベッドからサンダルにつっかけ、愛しい相棒にその奇跡的な光景を見せてやるべく、窓に向かってふらふらと立ち上がろうとして。 )
……ね、今の声、聞こえました?
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