匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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………はい、ギデオンさん、
( 愛しい声が己の名を呼ぶ。そのあまりに真剣な声に、自分から呼びかけたことも忘れて、小さく掠れた声で返事をすれば、手に感じる優しい温もりを柔らかく握り返して。透き通った青い瞳、微かに皺の寄る優しい目元、此方の名前を呼んでくれる薄い唇──……少し疲れて見えるが、見間違う筈もない。今目の前で、大好きな相棒が生きている。その紛れもない事実に鼻の奥がツンと痛んで、ギデオンが握っていない方の手で目元を拭おうとするも、その腕にさえ太い管が繋がって動かせず。血の気の感じられない顔を心底嬉しそうに歪め、安堵の雫が溢れるままに頬とシーツを濡らしていく。──この不器用な相棒が一人、悪魔の館に立ち向かった時、どれだけ肝が冷えたか。血塗れた胸を見て、どれだけの衝撃が襲ったか。再びその時の恐怖を思い出し、小さく震え、その手を握ったまま、相手の頬に伸ばそうとして。やはり上がらなかった腕に力なく微笑む。そうして、「ギデオンさん、お怪我は……?」と、普段元気よく揺れる頭を重そうにずらして、もう一度その優しい青と目を合わせた瞬間。やはり変わらずそこにいる相手に、とうとう耐えきれなくなって、気丈に浮かべていた笑みをクシャクシャに歪めると、おそらく病院であろう空間に気を使い、押し殺した嗚咽に肩を震わせて )
良かった……、本当に、ギデオンさんが死んじゃわなくて……本当に……
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