匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──ッ、違う! ……馬鹿にし、て馬鹿にして馬鹿にしてッ!!
アンタみたいな嘘つきと一緒にしないでよ!
( 愛しの男を掠った手から流れる温かい血潮が身体を濡らす。──ああ気分が良い、心地よい。その膨れ上がった生肉を穿って、痛みに震える"中身"を堪能したい。そう振り切った腕を素早く差し戻し、二撃目、三撃目を繰り出そうとする恍惚とした表情が、再び流された魔素によって再度苦痛に歪む。無様に目を剥き、生唾を垂らしてなんとかチョーカーを外そうと、己の首にガリガリと鋭い爪を滑らせのたうち回れば──思わず耳を疑った相手の一言に、首輪がもたらす痛みに顔を歪めたまま、詰め寄るように上半身を擡げる様は最早執念としか言いようがなく。──この人は、都合の良いことを言ってヒトの心を弄んだ挙句、その気持ちさえ都合よく否定しようと言うのか。この気持ちのせいでどれだけ苦しかったか、辛かったか、捨てられるものなら捨ててしまいたかった気持ちが、言うに事欠いてニセモノだと、欺いて良い物だと言って嗤うのか。そんなあまりの言い草に目を剥いたヘレナがヒステリックな金切り声をあげた途端、空間の魔素濃度が爆撃に上昇し、館の壁という壁、天井という天井が物凄い音をたて震えた思うと。実際、ヘレナ達から遠いエントランスの方から、主が弱って維持が難しくなった館が轟音をたて崩れ始める。空気中のあちこちで飽和した魔力が弾けて、カーテンや絨毯、壁紙に燃え移ってメラメラと燃え始める。次の振動で先程ギデオンが通ってきた出口も崩れ落ち、密室となった空間に煙が充満。その中でそれはそれは美しくにっこりと笑った女悪魔は、その力の大半を失ってもなお諦め悪く、その長い髪を愛しい男へ伸ばしたかと思うと、万力のような力で締め上げようとして。 )
──アーロンさん、好き、大好きよ
だから、一緒に死んでちょうだい
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