着ぐるみパンダさん 2022-02-12 16:39:37 |
通報 |
( ぶっきらぼうにも返してくれるその言葉に耳を傾けながら、適度に相槌を打ちつつ、すぅ、と深呼吸をした。そして、母も言っていた 満月 の音に見えるはずもない空を見上げて見せる。
彼の言うことが現実ならば、月に一度のこの日に、自分は未知の世界へと偶然ながら足を踏み入れてしまったらしい。
しかし、戻るなら早い方が良いと助言してくれる相手の言葉も、何故か心には響かなかった。それはきっと、掌から伝わってくる彼の体温が優しいほどに暖かいから。)
……狼さん?
ど、どうしたの!?しっかりして!
( 迷い込んだ経緯を話すべきか口篭り、一間してから口を開いた刹那_。
触れていた相手の身体が苦しそうに上下するのを感じると、よろめくようにして離れていく。戸惑っていれば、少し離れたところから何かが重々しく倒れるよう音が聞こえ、悲鳴に近いような驚きの声を上げながらも、慌てて相手の位置を弄りだす。
縋るようにして倒れたその体に寄り添えば、苦しそうな相手の額を撫でた。 )
トピック検索 |