着ぐるみパンダさん 2022-02-12 16:39:37 |
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( __今日は、満月。
珍しく穏やかそうな声色で、母がそう言っていた。冷たい夜風に晒され燻りながらも、その満月を、自分は見ることが出来ない。
今居るのはきっと、森の奥。
遥か昔から、魔物が出るやら神隠しに合うだとか、そんな不思議な噂の耐えない森へ母に連れられてやってきたが、それも暫く前の事。何も見えない暗闇の中で、草木が揺れる音と自らが枝葉を踏む音のみが脳裏に響く。
いつも持っている白杖も、母に言われるがまま家を出る時に置いてきてしまった。あれはきっと、自分が戻って来れないようにする為だ。)
……、…。
( 木の幹を伝うようにして、ゆっくりゆっくりと森の奥へと進んでいけば、ふと、辺りの空気や気配が変わったように感じ、俯いていた視線を上げる。
母に捨てられた悲しみは重く伸し掛るが、泣き言を言うのは好きではない。とにかく今は、この不思議な気配の正体を突き止めんと、尚もその歩みを進めていくのだった。)
( / 改めましてよろしくお願い致します!
レスペやロルの長さには結構なバラつきがございますが、ご了承頂けると嬉しいです。 )
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