門番 2022-01-22 17:59:35 |
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>35 鴉さん
あ、ありがとうございます。お言葉に甘えます。
(あちこちにヒビが入り枯れた蔦が壁一面に蔓延る建造物が大半の不思議の国で、綺麗な家にありつける保証は全くない。正直雨漏りや隙間風がないことを祈るのも贅沢な気がするレベルだが、野宿するよりは余程まし。そんな考えを脳裏に巡らせてお礼を言うが、内心はそれどころではなかった。自分がクッキーを差し出した相手の姿は、紛れもなく成人男性のそれ。鴉の姿に意識がつられたという理由こそあれ、初対面に近い彼に行うにはあまりにも大胆すぎる行為だった。何か別の話題に移そうと思考を巡らせるが、彼の赤く染まった耳や逸らされた視線に思考は停止せざるを得ず。結局不器用に墓穴を掘りながら、パウンドケーキの入ったバスケットをずいと彼の方に近づけた。こちらも耳まで赤くなり動作もぎこちないが、それを気にしている余裕はない。)
えっとその、あれは軽率でしたね。これ、食べてください。美味しいですよ。
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