物書キ見習イノ青葉子 2021-11-22 18:31:02 ID:ad3241738 |
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...死のう、と思った。
「ただいまー...あれ、母さん仕事かな」
慣れた手つきで鍵をまわして開ける。部活が長引いてすっかり暗くなった午後七時。いつも通りなら、母さんはいるはずだが。
たまに仕事が入って、と夜遅くに出掛けることがあったから、それかな。
特に気にせずリビングに向かって、目を向けた机の上に一枚の紙。
『暁へ
お母さんはもう、お父さんと暮らすのに疲れました。どうかお父さんと、幸せに暮ら「ふ...ふざけんなぁッ!」
バシッと床に叩きつけられて、紙が音をたてた。
それは日常が壊れる合図...いや、もしかしたら、もっと、ずっと前から壊れていたのかもしれない。
「そ...うだ。父さん...父さんは」
わずかな希望を胸に、スマホをだす。
電子音を響かせて、手のなかの板は鳴り続ける。
一回...出ない。二回...出ない。三回...
「なんで、なんで出ないんだよッ!」
聞けども答えが返ってくる筈も無し。
日常が、当たり前が、虚構の幸せが。壊れて...こわれて...コワレテ...
嘆くことしか、出来なかった。
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