匿名さん 2021-08-25 21:44:33 |
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三谷戸徹
〉犬飼さん
(本当はそうしなければいやに当たられる現実が待っているから、という理由であった為に褒められていいものだろうかと驚いた表情でいたが、彼が知る由もない話で取り繕うように目を逸らして。しかし、自宅用に購入した物への反応を受けてからは、素直にそうしてよかった、と最後には安堵したものに変わって。)
それは......。良かった、素敵な場所ですね。
(自ら手を離してしまったから、と説明するのも野暮に思われ言葉に詰まってしまうが、彼の口調が問い詰める物ではない響きに感じ、焦燥感よりは羞恥心に近い感情が沸いて。同時に自分がぎこちない会話ばかりしているようで益々恥ずかしい気持ちで心拍数が乱れはじめ、もっと人との会話に慣れておけばよかったと、周囲との交流を避けて通ってきた事を後悔して。相手の足取りに合わせながら教えてくれた休憩スペースにたどり着いた頃には、ざわついた気持ちも幾らか落ち着きを取り戻し、懐かしみながら先に木のベンチに座った背中を視線で見送る。感傷に浸る最中の人の隣に座るのは邪魔をするようで、自分はその場に立ったまま見慣れない景色の中に当時の彼の姿を探すことに熱中して。)
飲み物、買ってきますね。
(そうしている内にその場から五メートル程の所に自販機を見つけ、飲み物があった方がお菓子も食べやすいと考えが浮かび、静かに声を掛けてから持っていたお土産の袋をベンチに置き買いに向かって。硬貨を何枚か入れてから冷たい微糖の珈琲と温かい紅茶のボタンを押す。取り出してから思いの外熱い小さめのペットボトルと冷たい缶を交互に持ち替えつつベンチへ戻り、どっちを飲むかなと意見を聞かずに当てずっぽうで買ってしまった為に頭を悩ませながら、お待たせしました、と声をかけて。)
羽柴広野
〉鈴木さん
あまりにも俺を嫌ってるみたいだったろ?番号交換は出来たけど期待はしない、捨て台詞のつもりで言ったの。
(無理に絡みに行った事やそれが原因で口論になった記憶を昨日のように浮かべ話しながら、それ以外の用で連絡する人に見えない人物ゆえに音沙汰がない、つまりそれで終わった関係だと考えていた、と自分の言動を解説してやって。)
ねぇ、めちゃくちゃ拒んだりかと思ったら今みたいに譲歩してくれたり、もしかして離れてる間に俺が恋しくなった?
(彼の生態を知る事への興味が勝り料理には手をつけず、主観で相手を語りながらあり得ない事をわざと弾みで嬉しそうに話に加えて。今日で二度目に会うのだからわからなくて当然なのだが、どうにも初めて会った頃には考えられない様子でどうしたのかと驚き半分、嬉しさ半分の気持ちで。)
永遠に味だけをリピート出来たらって思えるくらいに美味い。容量の問題さえ無ければな、俺は限界に近いけど、鈴木くんはそれで足りんの?
(誘われるままに烏龍茶を頼み、ほどなくして食べ終わった皿を店員が片してから代わりに注文したソフトドリンクが置かれる。相手の前に並ぶ皿を見て目的は自分への礼だとしても普通の成人にとっては少なく見えた量が気になり、一応尋ねるが余計なお世話だったかなと、聞いてから思って。混ぜる必要のない烏龍茶だが、ストローをマドラー代わりにして氷を溶かすように動かしつつ、退店してからの事を考え。)
もうアンタと連絡すんのも終わりだな、今までありがとう。
(自分に対してどう思っているか、ただその事が気になり聞いてみたいが、こちらに彼の気持ちを無理に向かせるのは不可能だと理解しながら、しかし都合よく考えてしまう。本当は終わらせるつもりなど無かったが、言い出してしまったら最後取り消せない、素直に引き留められない意気地なしな部分が出る。取り出したスマホを操作しディスプレイに表示された番号を見ながら、ここまで付き合ってくれたことが奇跡なだけで、振り回してばかりだったが嫌々ながらついてきてくれた事を感謝しながら遅すぎる反省をして。今のように自ら別れを切り出すのは軽い関係の人によくする事で、慣れているはずなのに妙にそわそわして、言ってからすぐストローに口をつけ。)
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