ビギナーさん 2021-07-25 07:08:21 |
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「そーだよ。」
(気の無い返事を返すと、落ちている色鉛筆の最後の一本を拾い上げてケースにしまう。ぱちり、と音を立てて蓋を閉じたそのケースには茶色─血液が酸化した色─でハートマークが描かれていて。)
「…そりゃどーも、ありがと…」
(目を逸らし、もごもごと照れたように返す。友人こそいるが自分の創作を褒められることなどそう多くない青年は月並みな誉め言葉にも慣れていない。幼少期などは尚更─そこまで考えて、せっかく褒められたのに嫌な気分になりそうだったのでそれ以上考えるのをやめた。)
「こんなところ…ね。落ち着けるからかな?誰か来ることも滅多にないし、家とか戦争真っ只中の戦場よりはよっぽど落ち着けるし」
(「血生臭いにおいも、慣れると結構悪くないよ?生きてた証って感じで」そう冗談めかして笑い、画板の上に画用紙と色鉛筆のケースをのせて立ち上がる。)
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