XXX 2021-01-31 22:50:25 |
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>>31/シスター
( 白い修道服が揺れる。まるで、あの時の彼女と同じかのように、同情とも言えぬ慈悲の眼差し。見ず知らずの赤の他人なのに、自分の身に起きたかのようにその感情を、孤独に生きてきた此方の壁なんてお構い無しに飛び越えてくる言葉。振り下ろした左手──が、寸前の所でぴたりとその刃先を止めては驚いた様に双眸を微かに見開いて。『館が招いた』そう口にした言葉の意味を理解するのに時間を有し、完全に理解した訳でもないしそんな事があってたまるものかと更に怒りの感情が湧き出てくる。しかし、伏せた瞼を持ち上げた彼女の目に涙の膜があるのを見ては僅かに奥歯を噛み締めて、悲しいような怒っているような何とも表現しがたい程に眉間へ皺を寄せては乱暴に手を振り払いナイフをコートのポケットに入れて )
──意図せずして招かれたなら私は帰ります。此処は何処に位置する場所ですか?私は帰らなくては…“此処では”死ぬ事ができない─、
( 眼下に居る小さな相手。何故口や手元に拘束具なんてしているのか見当はつかないし、誰かの趣味ならば酷いものだと思いつつも、少しだけほんの少し、あの磔の姿を思い浮かべては頭を振り。ブツブツと紡ぎながら辺りを見渡して大きな玄関の扉を見つけては、相手に背を向け迷う事なく其方へ足を進めて )
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