偉大魔女の娘と白猫 2020-11-22 14:57:53 |
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>>all様
ロザリー「……ええーいっ」
何とも気迫に欠ける、しかし当人は必死に絞り出した声が裏庭に響く。
ロザリー・オブシディアンは属性魔法に関する座学を終え、課題を早めに終わらせて実技の練習に取り組んでいた。
得意の水魔法と黒曜石を生み出す能力を駆使して、なんとか実戦投入出来るだけの技術を身に付けなければならない。
成績優秀な彼女だが、魔法使い同士の対決ではまだまだ未熟な点が散見される。故に教科書やノートと睨めっこして一日を終えるわけにはいかないのだ。
ロザリー「またダメ……全然上手くいかない。どうしよう、トール」
トール「お嬢ガ腕を上げるしかナいだろう」
トール――ペット兼相棒兼お目付け役のクワガタムシ、トルマリンスタッグに冷たく突き放されて頬を膨らませる。
時折ノイズが混じったように掠れる彼の声には、厳しさ以上に彼女の成長を願う優しさが込められていた。無論それを汲み取れないロザリーではない。
すぐさま呼吸を整え次こそはと意気込むが……まだ何も掴めてなどいない。自分が上達しなければトールとの連携にも進歩は見られない。
焦りと疲労からか魔法を行使する順番を間違えてしまい、弾丸の如く発射した黒曜石片が水球に突っ込んで減速する。勢いを失い地面に落ちて雲散するそれらを尻目に、ロザリーは降参と言わんばかりに大の字になって寝転ぶのだった。
柔らかい落ち葉に身体を預けながら考える。誰かにアドバイスを貰えないものか――と。
(/出遅れましたがall文を書かせていただきます!)
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