【 指名制 】香撫町の住人。【 日常 / シリアス / NBL 】

【 指名制 】香撫町の住人。【 日常 / シリアス / NBL 】

主  2020-09-28 23:06:45 
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 香撫町。『第二の人生を送る場所』と銘打たれたその場所は、外からの情報の一切が遮断され、地図にも記載されない秘匿された町。

「 記憶喪失、か。……羨ましいな。 」

 この町の住人は、皆捨て去りたい過去や秘密を抱えている。

「 ───思い出してはいけないよ。 」

 少年は囁いた。
 その時の彼の表情が、ずっと頭に残って離れない。


>1 規則
>2 世界観
>3 住人達
>4 移住届

 ( / しばらくレス禁止。 )




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  • No.58 by 來 / ライ  2020-11-14 22:34:16 





             > 月( >57


 なんか馬鹿にしてない? ( もっとこう、怒ったり驚いたり、そんな反応を期待していたのだけれど、彼女は『びっくりしちゃった』と言いながら全くそんな様子は見せない。それが深くまでは立ち入らない彼女なりの優しさだと分かるから、ここは厚意に甘えさせてもらうことにする。子ども扱いするような言動にむすっと唇を尖らせて、大袈裟に拗ねたような表情。内心では、あまり触れられたくない話題が終わることにほっとしていた。しかし、そのせいで、こちらに伸びてくる手に気付くのが遅れる。おれを殴るあの人の顔がフラッシュバックして、骨髄反射で構えるように固く目を瞑った。直後、体の中を伝うのは、衝撃と鈍い痛み──ではなく、手のひらの柔らかい感触。恐る恐る目を開けると、目の前にはオリーブベージュの髪。そうだ、あの人は……母さんは、ここには居ないんだ。彼女に気付かれないように、そっと息を吐き出す。はっきりと自覚してしまった。おれは今でも、あの頃に囚われている。丘に向かうバスの中、彼女は一度も遮ることなくおれの話を聞いていた。驚くでも怯えるでもなく相槌を打っていたのが意外だったけれど、それよりももっと意外だったのがその後だ。彼女はこの町の住人達を『凄い』と、そう言った。どんなに言葉を選んでも、おれなら絶対にそんな言葉は出ない。何せ、住人達の秘密を知った時、真っ先に考えたことは『出来るだけ関わらないようにしよう』だ。彼女の感性とはほぼ対極にあると言っていい。 )
 月って面白いね。こんな話聞いて引いたりしないんだ?



 

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