主 2020-09-28 23:06:45 |
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> 月( >55 )
……なんてね。冗談。びっくりした? ( 湿気を含んだような重苦しい空気に、はっと我にかえる。まだぐるぐると何か考えそうになる思考を無理やり断ち切って、普段と変わらぬ様子でからりと笑った。真面目な話は苦手だ。嘘だけでいい。頑張れてなんかいない、何一つ変えられやしなかったおれを、見つけられてしまうくらいなら。丁度良く軽い調子で呼び方を尋ねてきた彼女に、「堅苦しいのは苦手だから來でいいよ。特別にキャンディーひとつで」と同じく冗談混じりに軽い調子で返す。これで、同情なのか、同調なのか、どこか気遣うような彼女の視線が、おれの心ではないところに向いてくれればいいけれど。おれにあんな表情を向ける相手、兄さん一人だけでもうたくさんだ。丘の上までの彼女の案内役になったおれは、近くのバス停から彼女と共にバスに乗り込んだ。道中、おれのことをあれこれと聞かれるのも厄介なので、車窓から見える住人たちを指差して、あることないことをつらつらと喋る。……まあ、今話した内容は、ほとんどが本当だけれど。 )
あの子は自分がいると両親が離婚できないからってここに来た子で、あのお爺さんは過去に人を殺してる。それから、あの人は鏡の中の自分しか愛せない。
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