失恋酒〆

…あ、起きた？もうそろそろ遅いしさ、帰りなよ。
(相手が起きたのを確認すれば床に転がったウォッカの空瓶や空になったビールの缶を隅の方へ追いやり、何とか通り道と呼べるものを作って。)

あ、あぁ…つか、ホントによく飲むな…(相手からの言葉に頷きながら自分の身体に掛かってたブランケットを雑に畳んで立ち上がれば軽く見渡しつつある種の関心の声を漏らし、相手の作った道を歩いて玄関へ向かう途中で「いつもありがとな、話聞いてくれて」とヘラリと笑いながら感謝の言葉を述べて相手の部屋を後にして)

あははっ、どういたしまして～。…またね、お隣さん？
(流石に少しは酔っているのか、ほんのりと赤みが差した顔に妖しい笑みを浮かべてひらりと手を振りながら相手を見送るとまた缶ビールを手に取り、中身を呷って。一人になってからはテレビを見て笑い、しばらくすると缶や空瓶を袋に詰めて入浴し、ベッドに身体を横たえるとすぐに寝息を立て始め)

(相手に慰めてもらってから半月後、割とすぐに新しく出来た彼女を家に招き入れてお家デートをしたりしたものの、やはりそれ以降彼女と会うことすら叶わず結局漸く今日会えたは良いものの前の彼女と似た理由で別れを告げられてしまい、落ち込みながらマンションへと歩いて帰り)

疲れたなぁ…。
(職場(謎)帰り、ため息を吐きながらマンションへの帰路を辿っており。すれ違った女性達はちらちらと彼を見るものの大量のタトゥーとピアスに覆われた容姿の奇怪さにすぐ目を逸らす。と。
「あれ、お隣さん？」同じように帰る相手を見つけて声を掛け。)

あ…不二、さん…(トボトボと歩いていれば聞き覚えのある声に思わずピクリと肩を揺らし、声をかけられた方を向けばそこにはいつもフラれた時に話を聞いてもらってる相手の姿がそこにあり、名を呼べばヘラリと笑っていない悲しげな笑みを浮かべつつ「へへ、また、フラれちゃいました…」と話して)

あははっ、また？話、聞いてあげるからおいでよ。
(相手の言葉を聞くと困ったように微笑み、手に持っていた酒類が入っているらしいスーパーの袋を揺らして。)

…はい、着替えてから行きます(相手のおいでという言葉には何故だかとてつもない安心感が胸の中に染み渡り、コクリと頷いて着替えてから行くと話して一足先に自室に帰るべく歩みを進めて)

ん、待ってるからね～。
(相手と別れた後、自室に戻るとまたお気に入りのバンドの曲を掛けつつ冷蔵庫から昨日の残りの酒を取り出し机に並べて。)

(いつも何故だか相手の部屋に行く時は隣の部屋同士だからなのか、それは分からないけれどユルユルな部屋着で行くのが癖になってきていて。また以前と同じように首回りが緩く胸元が見る位置では余裕で見えるダボッとした服で相手の部屋へ向かい、そのままチャイムを鳴らし)

は～い、不二です。どうぞ～？
(チャイムの音に立ち上がって玄関の扉を開くと黒のタンクトップにジーンズ、首には流れる血液を模したような赤のチョーカーという謎の格好とゆるい微笑みを伴って相手を招き入れ。「あ、ごめん。袋散らかってるから歩きにくいよね？」と歩きながら言うと空缶や空瓶の詰められた袋を手際よく退けて。)

ん、いえ…(ドアが開き相手が姿を現せばまず目についたのは首もとのチョーカーで。すごいなぁ、なんて考えながらも相手からの言葉にやや上の空になりつつも返しては相手の作ってくれる道を歩いてリビングへ行き)

…で？何でフラれたの。
(「今日は軽く自炊しててさ。」と言いつつ料理が盛られた皿を所狭しと酒類が置かれた机の隙間に捩じ込むようにして配置していき。配置し終わるとまた缶ビールを呷り、飲み干してから問い掛け)

おー、うまそぉ！理由…この前と大体同じでさ、一緒に生活するの難しそうって言われた(料理が好きだからと言うこともあってか、相手の作った料理に目を奪われていれば、相手から理由を問われては少し拗ねたように呟いては「俺、そんな女性に嫌われるようなことしてないのに…」なんて不満げに呟いており)

ふ～ん…また？大体同じ理由だよね。お隣さん、ホントに女の子と恋愛するの向いてないんじゃない？
(ビールを飲みながらしばらく相槌を聞いていたが、理由を聞けば例のチョーカーを鳴らして首を傾げ。どこか悪戯っぽい笑顔を浮かべるとビールの缶を片手にそう告げて)

うぅ…でも、やっぱ男性と付き合うとか、イメージ湧かねぇんだよなぁ…(相手からの女性との恋愛が向いてないという指摘に少し悄気たように眉を潜め無意識に頭をさげることで服から胸元が見えており、頭を掻きながらポツリと呟いて)

あははっ、普通はそうだよね～。
ま、いつかは多分合う子が見つかるって。
(返答を聞くと持っていたビールを飲み干し、缶を床に転がすと料理に手を付け。相手の服から胸元が覗いているのに気が付くと「お隣さん、見えてる見えてる。隠しなよ。」と笑いながら指摘して)

ん、あぁ…なんか面倒でさ。部屋着これくらいしかないから(相手から指摘をされればそれが服に対してなのかと勘違いすればヘラリと笑いながら少し座り直すも首もとをパタパタさせており。当然チラチラと鎖骨周りは見えてしまうもので)

へ～…あんま服装とかこだわんないタイプなんだ？意外。
(相手が勘違いしていることに苦笑いするが、すぐに相槌を打つと「ねえ、お隣さん。俺の知り合いの娘紹介してあげよっか？ちょっと気は強いけど良い娘だよ～。」と冗談めかして言い、鉄板のような柄のケースに収まったスマホをゆらゆらと揺らしながらまたビールを呷り)

んー…申し訳ないけど、女性と付き合っても今のところ同じ理由で断られてるし、それで少し気持ちが乗らない、というか、ね…(相手の提案に少し思案したものの、眉を下げながら苦笑いを浮かべつつ遠慮の言葉を伝えては机に両腕をクロスさせながら置き、その上に顔を乗せて。ふと顔を上げ、相手の方を見上げれば「あのさ、別にそのつもりとかはないんだけど…男と付き合う、ってどんななの？」と本気で考えてるわけではないものの、相手の女性との交際が向いてない、という言葉を思い出しては何のけなしに問い掛けて)