着ぐるみパンダさん 2020-08-02 17:23:34 |
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「……!」
不意に感じる貫くような視線。小さな悲鳴の一つでも上げたくなるのを我慢して振り向けば、そこには幼いが美麗な容姿の少女が佇んでいた。
彼女のような人物がどうしてこんな場所に?その疑問は、逸らされることのない視線によって自ずと解消された。
(まさか、あの視線の主は――)
負傷兵を装い、兵士達に解放されている最中に唯一感じた、ゼクシアの素性を疑い暴こうとするようなあの視線。
右手を揺らし退出を促す少女の、まるで際限なく続く深海のような瞳に、あの時と全く同じ感覚を覚え身震いする。
そうなれば彼女がただの一般人でないと確定したも同然だ。恐らく異能者――それも幼くして王国の要衝に配置されるほどの実力者。
こんなあどけない少女を手にかけるというのはゼクシアのポリシーに反する。しかしこれは絶対に失敗出来ない任務であり、同時に命懸けの挑戦なのだ。故に――
「ええ、そうね……"ごめんなさい"」
謝意を伝え引き返すように見せかけ、突如として少女に襲い掛かる。
その首筋目掛けて伸ばす右手には、電流が目に見える青白い輝きとなって纏わり付いている。
この程度の出力なら殺してしまうことはない。まともに喰らっても暫くの間意識を失う程度だ。
幼い子供に暴力を振るう感覚に吐き気と眩暈を覚えながらも、ゼクシアは帝国の尖兵としてあるべき姿を演じる。
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(「やめて、触らないで!」ラヴィが現実から逃げるように目をぎゅっと閉じると、完全なる球体に口を付けたような黒い塊がひとつ彼女の首筋を護り、消滅する。「…お姉さん、やっぱり王国の人じゃない。私がマチルダちゃんを守るの…皆、来て。」ラヴィは貴女を相変わらずの責めるような眼差しで見つめると何処に隠れていたのだろうか、彼女の背後から黒い球体がいくつも姿を現し。「皆、私の槍になって。」ラヴィが首を一回転させることが合図てあったかのように、黒い球体はその完全なる球体から形状を変化させ、漆黒の槍にも似た姿へと変貌した。)
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