着ぐるみパンダさん 2020-08-02 17:23:34 |
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(/よろしくお願いします)
薄暗い部屋には鎖の音が響き渡る。
「 助けてぇっ 」
部屋中央からの女の声。
「 お願いだから、こんなことはやめて…お願い 」
バケモノを見るような目で懇願された。
「 俺は人間だよ。すまないね、君のお願いに応えることはできない。そんなに暴れても、君の手足は見ての通り、鎖に繋がれている。暴れると余計に苦しむのは君の方だ 」
俺が、腰の赤い短剣を持つと、女は暴れ狂った。
「 いやあっ 」
瞬間、女の肩から腕にかけて、ぼっと炎が燃え上がる。一気に室内が明かりに照らされ、部屋に転がる何人かの死体が明らかとなった。それを見た女からは、さらに炎が盛った。そうだ、この女は異能をつかさどる。
「 さっさと終わらせてやる 」
俺は、赤い短剣を女の喉元めがけて投擲した。いくら異能を持つとはいえ、彼女が鎖に繋がれている以上、抵抗のしようがない。女はダーツのマトのように、なす術なく喉元に赤い短剣を受け入れた。
「 …っあ、あ 」
俺は死にゆく女の目の前まで近づいた。
「 異能を持つ者が、ゾンビになるとどうなると思う?答えは、わずかな確率で戦争の強力な武器、資源になり得る。君には期待しているよ。もし当たれば、君は相当な値打ちになるだろう。王国が買ってくれるかは分からないが、帝国の官僚当たりは君を欲しがりそうだ 」
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