ストーリーテラー 2020-07-15 23:39:22 |
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>>リープ
(王子の愛と貴女を守るための行為。当たり前では彼女にとってそれは同列なのだ。それだけのはずなのに、なぜか酷く悲しかった。だがどう思われようが、自分には主人を守る責務がある。どんなことからも守って差し上げるのだ。……たとえ彼女に嫌われ、傍にいられなくなったとしても。咥内に鉄の味が広がる。知らないうちに唇を噛み締めてしまっていたようだった。それを隠して、彼女のぴんとした背をゆっくりと追う。再び彼女が、その美しい声に喜色すら浮かべて言った、それは、王子と自分は同じだと。ハッピーエンドには要らないのだと、そう突き付けられた気がした。勿論彼女にそんな他意はないだろう。だが、彼女の心の根底では然うなっているのではないか。そんな確信めいた疑問が脳裏を駆けた。体を茨で絞められたかのような感覚を受け、息を詰まらせた。だがふと、それこそが自分の切なる願いだったのだと思い至り、痛む胸に気付かないふりをして言い)
「……ハッピーエンド、とやらに立ち会えましたら、お暇致しまして好きに旅行でもしてみましょうか」
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