ストーリーテラー 2020-07-15 23:39:22 |
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>>アルディス
アルディスも…知らない場所なのね
(廊下に並ぶ窓の向こうで一瞬雷が光った気がした。王子様と共にここへやってきたお姫様、味方だと信じる人と離れ離れになるというのは心細いものだろう。花の香りすら纏ったような声が紡いだ返事は、それはつまり、人魚姫の物語にもこの場所は存在しないということを示していて、どうしようもない…行く先の見えない闇の中だ。ただそれでも「それでも、誰かに会えたのはいい知らせ。少しお話しても?あなたの物語が知りたい」と身勝手に警戒心も薄く気を許したように微笑んで、彼女の声を聞いていたいと思ってしまうのは人魚故か否か。誘いの返事を強請るように、その場でゆらゆらと身体を揺らせば、着ている服の裾も海の中の鰭のように揺れて)
>>ミヒェル
大丈夫、だってあの日の悪い人は居ないでしょう…私、今、起きてるもの
(目の前の金色が澱んで冷たく、まるで夜中の海のようだと思った。こんな、目をしていたっけ?それでも無遠慮で根拠もなく、ただ、物心ついた時から隣にいたこの執事を信用しない理由が見つからない、哀れな眠り姫。目の前で揺れるこの金色の瞳が、己とよく似たそれが、あの日、眠りに落ちる自分の視界に映らなかったことも、目が覚めた時に真っ先に映ったのは知りもしない王子の顔だったことも…それはそれは、よく覚えている。時折何かを隠すように動く執事の手が、己の首を絞めるなんて、例えば糸車に呪いをかけるだなんて≪ありえない≫。ちくりと幻の痛みが指先に走ったような気がして、手を握りしめては「…ミヒェルが来るのが遅いから、待ちくたびれたのよ。」と外へ出ようとした言い訳で唇を濡らす。でもこれで、自由に外を出歩ける。呪いの糸車はないはずだし、魔女もいない、知らない場所だけれどあなたがいる…あなたの横を通り抜け、廊下に出ようと足を踏み出し)
>>クライヴ
(ビリッと嫌な音が響いた、窓の外は暗く、まるでその音だけが切り離されたかのように鼓膜を揺らす。己の目の前には開け放たれた扉が一つ、その先に繋がっていたのは下るための石の階段…カビの匂いを纏ったそれは、明らかに踏み込んではいけないそれで躊躇していたところだ。何の音だろうか、と廊下の真ん中でダンスを踊るように身を捻り振り向き、先程曲がった角へ戻るように歩を進める。と、随分と愉しそうな声が…この状況を楽しめる時点で踏み込んではいけない匂いがする。階段と同じだ。あの日禁じられていた場所に踏み込む時に感じた、甘くて、血腥くて、暗くて、しっとりとしているあの気配に似た…いやいや、まさかね。ゆっくりと角を曲がり、金色の瞳に炎の様な緋色を映し…良い身なり、着方は少々粗野だけれど。「知らない人について行っちゃいけないって、言われてるから」と小さな声で威嚇染みた、警戒心を滲ませた声を小さな唇で紡ぐ。同じ金色の目を持つもの同士、それでも、目の前の人間に安易に近付くことを阻む何かがあって)
(/早速絡み文をご提出いただきありがとうございます!警戒心丸出しの愚娘を向かわせてしまい申し訳ございません、何卒よろしくお願いいたします/蹴)
>>ノエル
(こちらに向かってくる白兎、着実に狭まる距離だというのに身体が竦んで扉を閉めることを忘れてしまう。この兎さんが、あのアリスを不思議の国へ連れて行った人…否、それが意図的であったとは思っていないけれど、物語では≪アリスが追いかけて、穴に落ちた≫ことになっているのだから。あの日のワンダーランドに己はいないし、ここはワンダーランドではないし…何より、アリスの物語で白兎は悪い人ではなかった、はずだ。飲み込んだ息をそのまま吐き出すように「…あなたは、アリスの兎さん?」とあまりにも間の抜けた問いかけと共に、扉を開く。用があるかないかで言えば無いに当てはまってしまうかもしれないが…この場を知らない者は一人では無いのだ、と思えるだけで救われるような気がして)
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