司書 2020-03-22 13:34:22 |
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>>1248 ノア
……そうだな、悪くない日だった。
(表情には出さずに肩をすくめる。大袈裟な言い回しだが、彼女にとってはそれほど価値のある時間だったのだろう。感謝されるのは悪くないと考えていると、バスの速度が緩やかになってゆく。隣では降りる準備をする彼女が毛皮の手触りを最後まで楽しんでいる様子が伺えた。ちゃんと手入れして返すあたり、律儀な性格だと彼女の司書というジョブへの適応力を感じ。差し出された毛皮を受け取ろうとしたところで、彼女が一瞬ためらったため、目線を毛皮から彼女へと向ける。――インクの匂いとは、妙なことを聞く。確かに人間よりよっぽど嗅覚に優れてはいるが、何かを渡したいという意図が含まれているなら、そこに文句をつけるなど野暮だろう。そも、彼女は自分への恩を返すことに拘っていたため、そんな相手が贈ってくるものならば不快に思うことはそうはあるまい。むしろどんなものを贈ってくるつもりなのか興味がある。あっさりと答えながら、毛皮を受け取って)
インク?──好きでも嫌いでもねぇな。
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