アレク 2020-03-17 21:02:50 |
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>>ロツキ
( 真夜中の病室。俺は仕事帰りの姿のまま、医療ベットに向かい合うようにして椅子に腰掛けている。ベットには、最愛なる妹が眠っている。
言うまでもなく、神は無慈悲だ。未来のある若い少女の、重病に苦しめられる姿を見ても奇跡を起こさない。今ごろ、青春を謳歌しているはずだった妹は、ここ一年半以上前から、今にかけて闘病生活をおくっている。その上、彼女を助けることができるのは俺しかいない。家族は、世間でいわゆるクズで無責任だからだ )
…大丈夫だ。何があっても、俺だけは柚のそばでサポートし続けるからな。
( 今や、病院通いも日課となった。仕事に行き、病院に行き、そしてまた仕事に行く、というお決まりのルーティンだ。だがそのルーティンも、もうじき終わる。俺は昇進が決まったからだ。自らの地位を利用して、出勤時間の短縮が認められた。つまり、これで妹を一人にする時間を少なくできる。)
兄ちゃん、もっと頑張るからな。
( 一瞬、妹の表情が和らいだ気がした。俺は、缶コーヒーを一口すすり、深く目を閉ざす。
しかし、次に目を開けた瞬間、わずかな希望が、絶望へと転じる。そして、赤い瞳の持ち主、アレクとの出会いが、俺の人生を憤怒に染めようと運命が待ち構えていた。 )
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