Direktisto 2020-03-06 22:31:59 |
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>アニータさん
(ひょっこり、覗いた先に見えたのは、ソファの上で眠る一人の少女。冷たい空気に包まれるその小さな体を見てブランケットくらい掛けるべきだろうか、けれども下手に音を立てて起こしてしまっては…などとその場で逡巡している内に、ソファの上にある身体が動き未だ眠気の残っている顔が此方を向いた。「…起こしちゃいました?」と、すまなさそうな色を湛えて尋ねてみるも、彼女の言葉と緩く振られた手が歓迎を示せば直ぐに安堵の色を浮かべ。勧められるままにリビングに足を踏み入れると、テーブルを挟んだもう一つのソファに腰を下ろしてみる。彼女が作ったと言うクッキーとパウンドケーキは食欲をそそる美味しそうな焼け目が付けられ、甘い匂いが鼻腔を擽った。その出来栄えの良さに純粋な称賛を口にすると同時に、自身のこれ迄の料理歴を顧みてはほんの少し苦笑いを。)
すごいなぁ…アニータさんは器用なんですね。僕は料理は全くなので本当に羨ましいです。
>ローレンさん
い、いえっ…!僕の方こそ、こんな所でぼけっと突っ立っててすみません!
(リビングから聴こえて来たのは美しい声によって紡がれる旋律。その音に魅せられ入り口で立ち竦んでいた為に、折角呼び掛けられているにも関わらず声の主が目の前に来てやっとの事で我に返る。視界一杯に宛ら月の様に幽艶とした金色が広がれば、どぎまぎとして反射的に数歩退き。相手に動揺を悟られないよう咄嗟に顔を背けた所で、背後で何やらわしゃわしゃと動いてはその意味も無い。くすくすと空気に溶ける柔い声は心地良く耳を擽り、それにより自身の間の抜けた行動が思い起こされては気まずげに視線を彷徨わせ。そうしてふと、目に留まったのは彼女の抱える楽譜。勿論見た事くらいはある物の、どうやっても自分には只の粒の羅列に映るそれが彼女の瞳にはどう映っているのだろう、何て興味も湧いて。人差し指で楽譜を指せば躊躇いがちに問い掛けてみる。)
楽譜…もしかしてそれ、読めるんですか?
>ドムさん
…っ、そ、そんなに笑う事無いじゃないですか!心臓が飛び出るかと思いました…!
(フロアを満たしていく哄笑。相手の名前を発した他には口もきけない状態だったが、目の前で小刻みに揺れる身体を見ている内に段々と力が抜け、強張っていた相好がふにゃりと崩れる。緊張と驚きを長く深い溜め息に載せて吐き出してしまえば、珍しくどこか拗ねた面持ちで抗議を。とは言え一連の行動から、人を揶揄う事が嫌いでは無さそうな彼に対して背中をがら空きにしていたのが間違いだったのだろう。悪戯っぽく煌く緑の瞳を横目に、今後彼の前で気を抜く事は絶対に止めようと心の中で固く誓って。此方を気遣う言葉と共にしなやかな手が目の前に下りて来ると、その手をまじまじと見詰め。きっと彼にとっては何気ない動作。けれど自分にとっては大きな意味を持つそれに、様々な感情が込み上げてはそれらが身体に表れ。手の震えを抑えきれないままに弱々しく彼の手を取ったなら、素直に感謝の気持ちを伝えよう。)
…あ、ありがとうございます。
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