依存症

またー？一応うちの寮は男子禁制だっていつも言ってると思うんだけどなあ。男子を招き入れるどころか泊めたなんて知れたら大変なのは私なんだよー？…まあいいけどさ
(寮に招くということは今日は最後まで一緒に居たいという意思表示であり、これまでにも何度となく繰り返されてきた一種の暗黙の了解のようなものだが禁則事項を犯しているのは事実のため、形式的にはイケナイことだと目を細めてジト目で言葉にしてみるが、そもそもそれを知って招いているのはこちらなのだから当然そういった発言も本気の注意などではない軽い戯れのようなもので。繋がれた手は最初こそ冬の寒い外気によってすっかり冷え切っていたが、触れ合った場所からじんわりと、確実に温かなぬくもりが伝わってきて安心感と共に不思議な高揚感を覚え、こんな感覚になるのは彼の他には考えられず、改めてやはり彼は自分にとって特別で離れがたい存在なのだと実感を抱き、それはきっと相手も同じはずだと確信めいたものを感じていて。寒さから逃れるべく身を寄せてくる相手の肩に軽く首を傾けて頭を乗せると寮までの道のりをやや早足で急いで)