異世界転生録(百合)

おいおい？大丈夫かい？サヤカ
(目が覚めれば見知らぬ森の中、自分の名前を呼ぶ相手の声に気が付き転びそうなところを抱き抱えると自分の額に二本の角が生えている異変にはそっちのけで気が付かず相手の心配をしていて)

あ、ありがとう朱莉ちゃん。……大胆なイメチェンだねぇ。(転びそうな所を相手に支えられればお礼を言い体を起こすと気恥ずかしさから少し後ろに下がり私服の黒のマキシワンピースの裾を払い視線を上げると支えられた時は気づかなかった角に目が行き相手を傷つけないようにそう感想を告げて)

んー？イメチェン？何のことだ？
(相手の視線の先が自分の額に生えた角にようやく気がつくと「な、なんだよ、これ！？」と抜こうとしたが取れなかった為「まぁ、いいか」と命に別状は無さそうなので放っておくことにすれば「サヤカ、これからどうする？」と相手に尋ねて)

まぁいいかで済ませちゃうんだ。朱莉ちゃんがいるなら何処に行ってもいいよ。でも流石にここからは出たいかな……(自分だったらあわてふためくだろう身体変化をまあいいかで済ました相手のいつもどおりなおおらかさに頼もしく思えばいつも自分を引っ張ってくれる相手の存在にこの見知らぬ土地でも安堵をし相手からの問いかけにとりあえず当たりを見渡せば森といった状況にそう答えて)

たしかにこの森から出たいわな、よし、少し歩いて探索してみるか！！
(相手の意見に賛成し、森から出る事にすると相手と共に暫く森の中をうろついていていれば、森を抜けてこだかい丘の上に辿り着くと「サヤカ、ちょっと休憩するか？何か見えたりしないかな？」と丘の上で相手のことを気遣い休憩しようと相手に伝えて)

ごめんね、朱莉ちゃん。向こう側開けてるけど朱莉ちゃんなんか見える？(森の中は足下が不安定であまり体力のないサヤカには堪えておりその上で森の木々から流れてくる火が弱点というあまりにも当たり前な情報が都度流れ込んでくる不思議な状況に疲れていたので相手の申し出に申し訳なさそうにしながら甘えれば息をいれながら丘の上から回りを見渡せば北西に森ではなく平野が広がっている様子が確認できてそれを伝えようとすれば)

ん?…分からん！！こうすれば見えるんじゃないか？
(相手に言われて北西を見ても視力が良くなったわけではないようなので、何も分からないと答えるとふと何かを思いついたかと思えば、いきなり相手を肩車してみせて「どう？サヤカ！！何か見える？」と笑っていて)

わわわっ。重たいよ？……あれ?朱莉ちゃん！町だよ。町が見える。(相手にいきなり肩車されれば恥ずかしさから顔を紅潮させるも相手に言われて目を凝らせば赤い屋根のような姿を確認し興奮気味にそう言うもそれは他に人がいることに他ならずコミュニケーション不安から興奮が覚めればほのかに顔を暗くさせ)

よし、行ってみるか！！
(相手が街を発見するとそのまま相手を肩車した状態でまっすぐ丘から下っていくとどうやら角が生えた事は見掛け倒しじゃ無いのか身体能力が向上してるようで赤い屋根の街へと日暮れになる頃には着いてしまって「着いたけどこれからどうする？」と肩に乗る彼女は尋ねて)

は、恥ずかしいから下ろして。(思ったより早い町への到着と羞恥から自身の不安と折り合いを着けてはいないが肩車されている状況が衆目を自身に集めているため恥ずかしさから髪のピンを外し前髪で自分の目元を隠して)
大丈夫かな？変なことされないかな？(勢いで町まで来てしまったが自分たちはこの土地の事を知らない女性二人。どんな事にもなる可能性を考え声を震わせながら相手に逆に問いかけ)

ごめん、ごめん！！多分大丈夫じゃないかな？取り敢えず声かけてみよ？
(相手を肩から下ろすと取り敢えず街の人に声をかけてみようとしたのだが、「すみませ?…ん！？」思わず声をかけるのを躊躇った、何故なら街の住人が二本足でくトカゲだったり下半身が蛇の女性だったりと所謂亜人のような姿をしているからであり「さ、サヤカどうしよう？」と爬虫類は苦手なのか相手の後ろに隠れてしまって)

こ、こんにちわ？お邪魔していいですか？(相手が自分の後ろに隠れてしまったためとりあえず友好的に接してみようと声をかければ目の前の爬虫類系の亜人から敵意のようなものは無さそうな事に安堵しながら相手に大丈夫そうだよと声をかけて)

「人間とオーガのお嬢ちゃんか？ドランの街には珍しいな、お嬢ちゃん達もダンジョン攻略に来たのか？」
(サヤカが話しかけたトカゲの男性はリザードマンという種族らしく、リザードマンの男性からサヤカ達は情報を聞き出す事に成功した「サヤカ凄い！！」と情報収集を頑張ってくれた彼女を後ろで褒め称えているとリザードマンの男性は「他に聞きたいことはあるかい？」と首を傾げていて)

リザードマンから聞き出した情報
赤煉瓦の街『ドラン』
火山が近いらしくここら一帯の気温が高く、暖かい為、リザードマンやラミア、ドラゴニュートなどの爬虫類系の亜人種が好んで住んでいるらしい。この街にはダンジョンが発見されており、出稼ぎに来た冒険者などがいるとのこと。

(リザードマンの対応からこの町は人間に対する差別等が無い様子な事に安堵する。その上で今の朱莉がオーガという種族という事も判った。頭には相変わらずリザードマンは冷気が弱点だと何かが語りかけてくる)

そうです。ダンジョンが目当てなんですけどなにぶん初めてでどうしたらいいでしょうか？(朱莉にすごいと誉められれば気分はいいので苦手を押し留めて前髪で目を合わさないようにしながらリザードマンにそう聞けば)

「姉ちゃん達、ダンジョン潜るなら武器屋で装備を整えたり、仕事が欲しけりゃギルドに行ってみると良いぜ？俺らリザードマンは夜はあんまり行動するの控えてる奴が多いからなぁ、酒場で美味い飯食べたら宿屋で寝て明日に備えるのさ、じゃあな！！」
(今は夕暮れ時で夜になると気温が下がりリザードマン達は行動力が鈍るらしく、サヤカの質問を答えるとそのまま「サラマンドラ」という酒場に入って行ってしまった「これからどうしよっか？ご飯にする？装備を整える？それともギルド？」と首を傾げていて)

まずは宿屋で少し落ち着きたい所ですが……私達無一文ですよ、朱莉ちゃん。(慣れないコミュニケーションに少し疲弊した顔をすれば後ろにいる相手に向き直り相手の質問に宿屋に行きたいと要望を一応あげるも先立つものが無いですと悲しそうに口にし)

大丈夫、私お金持ってるよ！
(休みたいという金銭的に心配する相手に対して着ていたつなぎのポケットから財布を取り出すと諭吉先生をチラリと見せればそのまま「宿屋へレッツゴー！！」と相手を引っ張り宿屋を探すと『ラミアの鱗』という宿屋を見つけたのは良いが「うちは一番安い部屋でも銅貨二枚だけどこんな紙切れじゃ使えないよ！！」と宿屋の女将さんらしきラミアに言われて「どうしよう、サヤカぁ?」と相手に助けを求めて)

……これは、いくらになりますか(自分の提案から意気揚々と進む相手にもしかして本当にお金があるのかなと期待するが結果は駄目でなんとか換金できそうなモノはないかと考えれば気づいたそれは相手からのプレゼントである髪止め。震える声で断腸の思いでそれを差し出せばごめんねと朱莉に謝り)

「残念ながら換金は出来ないのよ、銅貨が欲しいのならギルドで仕事受けておいで」
(ラミアの女将さんは相手の様子を見てケラケラと笑いながら10円玉そっくりの銅貨を相手に見せながら尻尾を伸ばしてサヤカの頭を撫でていて「サヤカぁ、これじゃダメかな？」と小銭入れの中に数枚だけ小銭があることを確認して)

そうですか……硬貨？でも規格が違うし難しいんじゃ？(尻尾で撫でられる感覚に微妙な気持ちになりながら換金できないと知らされればショボンとするも逆になくならないで良かったと思えば相手から差し出される小銭を見るととりあえず女将さんの前にばらまいてみて)