「あ、いいよ。気にしないで」 リリィはにこり、と微笑む。 その時。 《…リリィ坊っちゃま。 こんな所で何をなさっているのですか?》 低く、落ち着いていてよく響く執事の声が 聞こえた。 「ルイ」 《はい》 「おいで」 《承知しました》 彼が呼び掛けると、黒髪で長身の執事がぬっと 姿を現す。