ブバルディア 2019-05-18 22:32:54 ID:cf2b77bae |
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『では、ごゆっくり過ごしてくださいね。4部屋の準備を進めてきます。』
女主人は朗らかに声をかけて去っていった。
シルクたちは本当に久しぶりの客のようで、食堂は貸切も同然だった。
「では、冷める前にいただきましょうか。
ん!おいしい。このパン、果物が練ってありますよ。」
パンをちぎって一口食べるとブドウの味がしたので、飲み込むとみんなに話しかけてしまった。
「……えっと、お昼ごはんが終わったら、誰かの部屋に集まってお話をしましょうか。」
「ありがとうございます。では、ジェイドさんのお部屋に集合しましょうか。」
にっこり返事をすると、おいしい食事を楽しんだ。
しばらく経って、ジェイドの部屋をたずねたシルクたちは話し合いを始めた。
「まずは、この商業都市のどこに支配者がいるかを予測したいですね。
王都と繋がる河川を管理する家……かしら……。」
「それなら…心当たりがあるよ。
僕の幼馴染なんだ」
リリィはポンと手を打つ。
《……リリィは、顔馴染みが多いからな》
「まあ。お友達が多いのですね。いい情報をありがとうございます。」
ぱあっと笑顔を見せたが、胸元で手を握りしめて、言いにくそうに発言した。
「……あの、その、王都とやり取りをするお家は調べておきたいのですが……。」
「リリィさんのお友達の家を疑うことになってしまうから、なんだか申し訳なくて……。」
気遣うように聞かれて、つい目を逸らしてしまった。
「…………特別なかたのご家族なんですから…きっと、無事でいらっしゃるでしょう。
……あの、幹部探しはどうしましょうか。早く倒したら、そのお友達も喜ばれるでしょうね。」
「そうだね…ジェイド、頼める?」
《りょーかーい!》
ジェイドはハンティングナイフを片手に
宿屋を飛び出していく。
「ジェイドさん、くれぐれもお気をつけて!!」
ジェイドを見送った後、シルクは両手を頬へ持っていき、苦笑した。
「始めからジェイドさんに頼んだらよかったみたいですね。
場所や人物を確認したら、そのときこそ倒しにまいりましょう。」
「待ってて、もう少しで…」
《リリィ!見つけたからさ、殺っていい!?》
ジェイドの喜びに満ちた声が響く。
「待って、今行くから」
「ええっ?ジェイドさんたら早い!すごい!」
ジェイドの帰りに目を見開いた後、
すぐにワンピースの裾を握りしめて入口へ向かった。
「私もまいります。治癒ならお任せください!」
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