xxx 2019-05-03 12:15:15 |
通報 |
>26 ギャルソン
私の情報を……っ、え?何、これ……(相手の口から語られる言葉も、ただの影から突如浮上してきた丸められた羊皮紙も、眼前に広げられたそこに書き記されている紛れもない己のこれまでの過去の断片も、全て意味が分からない。理解が追いつかない。フィクションの中の出来事のようにさえ感じ、脳内はオーバーヒート寸前である。薄い唇をぽかんと開き間抜け面を晒す。驚愕により見開かれた瞳は得体の知れないにやけ顔の少年の顔に注がれ。「今の影のは何ですか。それに把握してるって脅しか何かですか。プ、プライバシーの侵害です。知れれたくない事も知っている相手に安心なんて出来るはず無いじゃないですか!」全てを見透かしているかのような口ぶりの相手は、事実を本当に知っているのだろうか。孤独に押しつぶされ生きる事から逃げる道を選んだ情けない自分を。もしそうならば恥ずかしい。怖い。嫌だ、消えてしまいたい。感情がさらに入り混じりごちゃごちゃになる。情緒の安定しない精神はつい語彙を荒くし攻撃的な言葉の刃を放ってしまうが、それも帰りたいとの自分の発言を押し流すかのような言葉の羅列に勢いを削がれ、ビクッと肩を震わせては口は閉じざるを得ず。「っ……勝手に選ばれて喜べだなんて、理不尽じゃ無いですか。私の命なのに、なんで……」自分の命さえ思い通りにいかない歯がゆさに、何を喜べと言うのだろうか。下唇を一度噛み締め、嘆くような呟きを空気に落としたならば、不意に差し出されたのは鈍く光る鋭利な刃物。何時も懐にそんな物を忍ばせているのだろうか。迷いながらも右手をゆっくり伸ばし受け取る。ずしりとした重みが、この摩訶不思議な空間の中でやけに現実的だ。あの事件があってから間もなくどう終わりにするか思考した時、選択肢の一つとしては浮かんでは、直接的なこの手段は怖くて何度も躊躇してしまい、最後は炎に包まれる事を選んだ。しかし一度生死の境界線を越えてしまえば、その気持ちも薄れ。「試します。これで終われないと分かれば、貴方の言う通り此処での暮らしを受け入れるしか無いと、諦めもつきますから」瞳を見つめ返してから一歩後ろに下がり、ナイフの持ち手を両手で握り締め、刃先はドクドクと死を拒絶するかのように煩く早鐘を打つ心臓へ向け。全身に響く警告音を無視し、覚悟を決めるように数秒の間を挟んだならば、勢いをつけひとおもいにナイフを胸元に突き立てる。これが夢なら覚めて欲しいと願いながら)
トピック検索 |