読・書【Long/Middle/Short All OK】

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御鏡  2019-03-23 18:45:40 
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このトピは、小説を載せ合うトピです。
(『絵や小説を載せ合うトピ』の
セイチャ版と思っていただければ…)

タイトルに記載した通り、
長編も中編も短編、全て大歓迎です。
読む専でも大丈夫ですし、
小説でなくても、感想等もOKです。

では、皆様のご参加をお待ちしながら、
一筆して行きたいと思います。

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  • No.38 by セシル  2019-06-26 13:37:51 

(彼女の言う《白い監獄》とは何処なのか。
優くんは何故、彼女を抱き締めたのか。
彼女は、監獄を出てからどうなったのか。
考えてみてください!)

篠原海里(しのはら かいり)sideーーーー

ここは、白い監獄だ。

私は監獄のベッドで目を覚ます。

腕に繋がれた鎖も、掛けられた毛布も。

小さな鉄格子の小窓から見える、綺麗な海も。

殺風景な部屋も。

何も、昨日と変わらない。

看守たちの話を盗み聞きしたところによると、
私はもう少しでこの監獄を出られるらしい。

監獄を出られたら、何をしよう。

待たせっぱなしのあの子に会いに行かないと。

美味しいご飯も食べたいな。

綺麗なお洋服だって着たい。

ピンクの服を着た看守が、扉をノックする。

《貴女に面会よ》

看守がドアを開けた。

そこには、あの子がいた。

私がずっと待たせていた、優くんが。

「何で君が?」

私が問い掛けると、彼は私を抱きしめた。

『良かった』とだけ言って。

《面会時間は5分よ》

看守がそう言ったのも、
聞こえていないようだった。

「苦しいよ、放して」

私が笑いながら言うと、彼は

『ご、ごめん!』

と言って、私から離れた。

「ねえ、私、そろそろここを
出られるんだって。出られたらさ、
海を見に行こうよ」

『そうだね』

私が思い描いていた計画を話すと、彼は
笑いながら聞いてくれた。

「あの人たちね、私がそろそろ
《ここから立ち去って、海に行ける》って
言ってたの」

私がこう言うと、彼の顔が真っ青になった。

『海に…って』

「どういう意味だろうね?」

彼は、私をまた抱き締めた。

『…海里…僕を置いていかないで……っ』

ぐすぐすと、泣いているみたいだった。

「大丈夫だよ、私は居なくならないよ」

私は彼の背中をぽんぽんと叩く。

『…本当に?』

「うん、約束するよ」

私は彼と指切りをしてみせる。

《時間は終わりよ、出ていってちょうだい》

看守が彼を呼んで、彼は看守と一緒に
出ていった。


次の日、私は看守に言われた。

《海里ちゃん、貴女は安心して寝ていて
良いのよ》

「本当ですか?」

《ええ、本当よ》

看守は何故か、泣きながら頷く。

私が安心して目を閉じると、何だか周りが
騒がしくなった。

耳には、看守たちの声が聞こえる。

《医務長を呼んできて!》

《体調が急変したわ!》

うるさいなぁ。そう思いながらも、
私は寝ていた。

急に目の前が開けて、私は海に居た。

あの小窓から見るよりも、ずっと大きな海。

…そうだ、優くんはどこにいるんだろう。

私は優くんを探した。

でも、どこにもいなかった。

海面を見ると、優くんがいた。

優くんのお家だろうか、部屋で優くんが
首にロープを掛けようとしているのが見えた。

「……優くん、ダメっ!」

私は懸命に叫ぶけど、優くんには
聞こえていないみたいだった。

優くんは笑顔で、そのまま、
首にロープを掛けて、椅子を蹴った。

ゆうくんのからだが、ものみたいにゆれた。

ぶらぶら、ぶらぶら。ふりこみたいに。

ただゆれていて、わらってた。

私がその場にへたり込むと、後ろから肩を
叩かれた。

優くんだった。

いつもみたいにニコニコ笑ってた。

なあんだ、やっぱりあれは違う人だったんだ。

私は優くんに聞いた。

「優くん、来てくれたの?」

『うん。海里に会いたかったから』

(彼)暁優(あかつき ゆう)sideーーーー

僕は、彼女のいる監獄に来ていた。

看守さんに受付をしてもらって、
彼女の独房へと連れていってもらった。

久々に見た彼女は、頭に包帯を巻いて少し
やつれてこそいたものの、元気そうだった。

『何で君が?』

あの綺麗な声も、何一つ変わっていなかった。

「良かった」

僕はそれだけ言って、彼女の小柄な身体を
抱き締めた。

看守さんが何か言った気がしたけど、
分からなかった。

『苦しいよ、放して』

彼女が笑いながら言ったので、

「ご、ごめん!」

僕は急いで離れた。

彼女はそれがおかしかったのか、また笑った。

『ねぇ、私、そろそろここを
出られるんだって。出られたらさ、
海を見に行こうよ』

「そう、だね」

僕は彼女の計画を笑いながら聞いていた。

彼女は、こんなことを言った。

『あの人たちね、私がそろそろ
《ここを立ち去って、海に行ける》って
言ってたの』

海に行ける。その言葉が、刺さった。

「海に…って」

『どういう意味だろうね?』

僕は思わず、彼女をまた抱き締めた。

「…海里…僕を置いていかないで……っ」

僕はぐすぐすと情けなく泣いていた。

彼女が僕の背中をぽんぽんと叩き、言った。

『大丈夫だよ、私は居なくならないよ』

「…本当に?」

『うん、約束するよ』

彼女はその細い小指を僕の小指に絡め、
指切りをする。

《時間は終わりよ、出ていってちょうだい》

看守さんに言われ、僕は看守さんと一緒に
彼女の独房を後にした。


次の日、僕は…自殺した。

監獄から、《彼女が海へいった》との連絡が
来たのだ。

急いで監獄に行って独房を確かめたけど、
彼女がいた場所はぽっかり空いていた。

僕は家に帰ると、ロープを天井に掛けた。

椅子を用意し、ロープの輪を首に掛けた。

椅子を蹴ろうとしたその時、微かに聞こえた。

《……優くん、ダメっ!》

彼女の声に、ひどく似ていた。

僕は頭に浮かんだ考えを打ち消す。

彼女を守ってやれなかった僕に、彼女が
そんなことを言ってくれるはずはない。

だから、僕は…満面の笑顔で椅子を蹴った。

「………すぐ、そっちにいくよ」

息は少し苦しかったけど、気にならなかった。

彼女の居る場所へと、行くためなら。

僕は視界が開けて、海に居た。

向こうに、座り込んだ彼女が見える。

僕は走り寄って、肩を叩く。

彼女は安心したように笑って、僕に聞いた。

『優くん、来てくれたの?』

「うん。海里に会いたかったから」

僕は、笑顔で答える。

首のロープ痕は、きっちり隠せていたかなぁ?

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