御鏡 2019-03-23 18:45:40 |
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ジャッジくんたちの小説、出来ました!
「今から…被告人×××(皆様の本名などを)の
判決を開始します」
青髪を靡かせた、軍服の裁判官はそう言った。
【ま、待ってください!裁判が先でしょう!】
「僕(私)」は裁判官に訴えた。
「判決が先、裁判での善悪の判断は後です」
しかし、その裁判官は当たり前のように返した。
【それって…それって…おかしくないですか!?】
「この世界はこれが【普通】です。貴方が
狂っているんですよ?」
裁判官から放たれた「狂っている」という
言葉に、「僕(私)」は、頭が真っ白になった。
『被告人に、懲役1000年を処す』
もう一人の赤髪の裁判官がそう言ったのも、
ろくに聞こえなかった。
【……う】
「僕(私)」が目を覚ますと、そこは先程までの
絨毯が敷かれたふかふかの床ではなく、冷たく
硬い鉄の床の上だった。
《よぉ、新入り。お前、何しでかした?》
隣から、青年のものと思われる声が聞こえる。
「僕(私)」はズキズキと痛む頭を押さえつつ、
状況を把握しようとした。
まず、一つ。
ここは牢獄らしい。足が何やら重い。
重りの類いでも付けられているのだろうか。
そして、二つ。
ここから出る手段は、今のところ無いらしい。
最後に、三つ。
「僕(私)」はどうやら、自分が何なのか
思い出せないようだ。
【…何も…してません】
「僕(私)」は戸惑いつつも、隣の声に答える。
《へぇ?そりゃ重罪だ》
彼はこう返してきた。
そして、こう続けた。
《この世界じゃあ、【何かした】ことよりも、
【何もしなかった】ことこそ最大の罪なのさ。
あんた、投獄くらいで済んで良かったな》
【…貴方は】
《うん?》
【貴方は、何をしたんですか。それとも、
「僕(私)」と一緒で、何もしなかったんですか】
《俺か?俺は…【何かをして】ここにいるのさ。
その何かってのは…ま、【人殺し】さね》
彼が肩を竦めたのが見えた。
その時、カツカツと足音が近付いてきて…
それは、「僕(私)」の牢獄の前でぴたりと
停止した。
〔やあ、新入り君〕
そんな、妙にチャーミングな声を伴って。
【…貴方は】
〔僕かい?僕は【チェシャ猫】さ〕
彼はずいっと「僕(私)」に顔を近付けてくる。
紫髪を目元まで垂らし、口元は妙に
にやついている。
腕には?5の腕章がついている。
【……【チェシャ猫】さん。「僕(私)」は
これから、どうなるんですか?】
「僕(私)」が聞くと、【チェシャ猫】は
困ったように返した。
〔さあ…裁判待ちさね。だが、先に【アリス】が
来るだろうから…もう少し待つかね〕
【…【アリス】?】
〔君の隣の監獄に居るじゃないか〕
「僕(私)」は、改めて隣を見やる。
金髪を束ね、整った顔立ちの青年だ。
彼が…【アリス】?
《そ。俺はアリス・ベルベッティっての。
よろしくな》
どうやら「僕(私)」は、この奇妙な世界を
抜け出さなくてはいけないらしい。
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