名無しさん 2019-03-16 23:21:22 |
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海翔君〉
(こういうのを「風流」と言うのだろうか__答えは定かではないが勝手に自分でそう思うことにすれば自分の言葉に肯定する海翔の方に目線を向け。圧倒的なインドア派の自分、外に出てこうして夜空を見上げるのは珍しいことかもしれない。ひらひらと舞い踊る桜の花弁が美しく景色を彩って、こうして誰かの心を癒してくれるのはまさに自然の美、と云うところだろうか。徐にスケッチブックを手に取って、鉛筆で適当に月を描いてみる。だが見る人によってはただの丸にしか見えないであろう。少しだけ不満げな顔をしてスケッチブックを膝の上へと置けば思い出したように呟いて。)
「…月ってこうして見ると、やっぱり明るいね」
(昔の人はこの月を唯一の「灯」として扱っていたのだから凄いものだ。今では電気に溢れて、ネオンに溢れて、周りを明るく照らしているけれど昔はそんなものはなかったのだから。時代の流れというのは本当に早いものなのだろう、そしてどんどん人々から忘れられていく。死を迎えた人間が辿る末路はこの世界に生きる人間に「存在すら忘れられてしまうこと」だろう。自分もいつかは忘れられる時が来ると思うと切ないものだとまるで年寄りのようなことを思いながらそっと息を吐き。)
咲月君〉
(ぼーっと外を眺めながら放心状態に陥りそうになっていた時に相手の言葉が耳に入ってきて。チラリと様子を伺えば彼は頬を掻きながら言葉を述べており。その言葉に少しだけ眉を下げる。女だからといってなんでもかんでもキッチリしていると思われては困る。僕に女子力なんて言葉は似合わない__なんて、内心名言のように告げてみるのだけれど惨めな気持ちにしかならず。社会人になれば手帳まで持ち歩かなければいけないのかと思いながら相手の言葉にゆっくりと、それでいて少しだけ不満げに答えて。)
「…僕手帳持ってないよ。…スケッチブックを持ち歩いてるからそこにサラッと書いたりするだけだし」
(やはり女と言うのはキッチリしていなければいけないのだろうか。確かに叶恋は常に笑いながら周りを見ているような気がするし、桃華はいつもお洒落に気を遣っていて色んな意味でキッチリしているし。渚だって周囲をよく見ているような気がする。こうして自分のことを卑下しがちなのは自分の良いところがあまり見定められないからだろう。不意に思いついたのは就職祝いにプレゼントとして手帳を買って貰う、なんてことだがそんなことは相手に言える筈もなく。自分の悪いところを自覚しているだけでもまだいい方だ。そんな風に自分を正当化しながら自分の言葉に嬉しそうに頬を緩ませている相手の顔を見ていたら不満げな気持ちなんてなくなってきて。自分もハッキリとは文句は言わないものの、直ぐに顔に出てしまう。そんな自分は多分社会からは求められていない、求められるのはスルースキルを持った人間であって。相手にはそれが備わっているからきっと「大人」に見えるのだ。嫌なことは嫌と言いたいし、面倒なことは面倒と言いたいけれど社会ではそんなことは通用しないに違いない。口に手を当てて小さく笑いながら言葉を述べる彼はやはり理想の「大人像」と言うものだろうか。)
「…僕が癒し、?…んー、そうかな。…嬉しい、けど…僕もほのぼのするよ、咲月君を見てると。…なんか、「いい大人」って感じするから」
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