✿ 常世からの呼び声 (創作/指名制)

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✿ 主  2018-11-05 05:29:18 
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随分と長い間、貴方は石階段を登ってきた。

その場所に見覚えはないだろう。
左右は鬱蒼と茂る木々に挟まれて、暮れなずむ陽は貴方を朱く照らし続けている。石階段の終わりには随分と古びた鳥居が一つ、その先が神社であると推測するのは難しくない。けれど貴方がそれを認識できるかは、別だ。

思考も感覚も朧げな貴方に分かるのは一つだけ。
呼ばれている。
呼ばれているから、石階段を登っているのだ。

一段、貴方は足を踏み出す。
一段、着実に一歩ずつ。
一段、足取りは不確かに。

そうして終わりが見えてきた。
後一歩、その石階段に足を載せれば鳥居の向こう側を見ることができる。鳥居の向こう側にいる、貴方を呼ぶ何者かがそこに居る。

一段、貴方は最期を迎える──筈だった。


>幸運にも誰かが貴方の手を掴む。そしてもう片方の手で、しぃ、と口元に人差し指を当て、貴方を石階段の下へと誘った。



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  • No.71 by 倉留 鮮  2018-11-21 18:22:02 



>70 銀弧

( ……自分から手を差し出してきたくせに。大胆だねぇ、なんてからかうような台詞が耳を通り抜けて、羞恥に頬が熱を持つ。しかし言い返す前に続いた言葉に忘れかけていた羽織の存在を思い出し、着ているシャツごと抑えるように空いた手でぎゅっと反対の肩を掴んだ。そのまま最後の段まで降りて、男の簡単な説明に耳を傾ける。彼の横顔は一拍置いた後の掛け声と同時に意識を切り替えていて、決して気が緩んでいたわけではないが改めて緊張が走った。腕を引かれて、脚を動かす。動くのに向いている服装とはとても思えないが、銀弧は俊足な男だった。ぐんぐんと速度を上げていき、カラカラ下駄を鳴らして迷うことなく駆けて行く。ほとんど呆気にとられたような気持ちで必死に後を追っていたものだから、周囲を見る余裕もなければ彼の緊張にも気付けなかった。また自分が革靴を履いていることをこの時やっと意識して、スニーカーでないことを激しく恨んだが、革靴の何倍も走りづらい履物で風を切る背中に泣き言をいう訳にはいかない。三十年付き合ったらしい足腰に鞭をうって、ただただ前だけを見続けた。がむしゃらに。
予告通り右に曲がると、男は徐々に速度を落とした。やがて静止して、息を吐く。到着か、と分かった途端にどっと疲れが押し寄せて、握っていた手をずるりと離すとそのまましゃがみ込んだ。俯いて、羽織をかけなおしながら息を整える。しばらくして落ち着きを取り戻すと、ゆっくりと立ち上がり眉を下げて笑った。 )
……お前、足速いな。ましてや下駄でさ。


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