悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(テーブルに並べられた果実は、赤い皮を向かれ白い実を剥き出しにして綺麗に並べられていた。蜜を多く持ったその実の中心には食欲を刺激する熟した甘い香りが漂う。何の変哲もない唯の果実だと言うのに自身の中で少しの突っ掛かりがあった目をひかれるそれは彼が言うには町で購入された物のようだ。彼の経緯に頷きながら着々と作られていく料理の香りに意識は奪われてしまった、目の前の果実のことは特に気にすること無く「…んー、別に何も無いよ、美味しそうな林檎だね。」椅子に座って頬杖をつきながら自身もスプーンを並べたりと夕食の支度を済ませた。お互いが席につき向かい合い口を開く「弟ね…。悪魔に家族なんてものは存在しないよ。人間みたいに番がいて、結ばれて…そんな複雑なものじゃなくて俺ら悪魔は人間の心の闇から生み出されるんだ。」微笑みを浮かべた表情とは裏腹に言葉に若干の棘を含みながら教えを説くように、正面から相手の瞳を捕え、湯気をのぼらせているこってりとクリームのように濃厚なスープ。確かリュカはこれをシチュー、と言っていたその皿にスプーンを差し込みくるりくるりと円を描いた。先程の彼の言葉を推理すると妹と弟がいた様子昔はという事は今は一緒に出かけていないのか彼の少し含みのある言い方にいくつかの思考を張り巡らせ彼の発した発言を振り返りながらも、賑やかな家族の風景を想像していた、だがそれが彼の素性と異なる事など知る由もなく、円を描いていた手を止めて「リュカには家族がいるんだね。今は何処にいるの?会ってみたいな。」純粋に興味が湧いたのだ、何気ないその質問に首をかしげながら問いかける。)
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