悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(自ら彼の指先へと口付けようとはした。しかし口内に押し込まれるのは予想外で、舌をなぞられる感覚にほんの僅かに肩を震わせ、身を引こうとするも彼の切なげな表情を見て距離を開けるのをやめる。泣きそうだ、と思ったから。指を抜かれ口内に残る鉄の味、それでも人間の血液とはどこか違うそれに、彼が人間ではないことを見せ付けられているように感じたが、どうでもよかった。ベッドに座らされて跨がられれば多少の恐怖があるはずなのに何故だが酷く冷静で、目の前の彼に言葉の真意や心情を探るように紅い双眸をまっすぐに見つめる。儚い表情に、放っておけないなと思うも彼の期待には応えてやれそうになかった。自分の意志を伝えるために口を開こうとするがその前に彼の冷たい唇がそれを制する。一瞬、反射的に拒否反応が出て彼の両肩を掴み離そうとした。口付け、それは初めての行為だった。両親と弟を失いこの村に来て、孤児院で妹や年下の子供たちの面倒を見て、前司祭の教会の手伝いをしてきた。そんな清い生活に浸っていたせいか、抱擁や挨拶程度の頬や手への口付けはあっても、ここまで濃厚な交わりは経験したことのないことだった。粘膜が触れ合う感覚は脳内を麻痺させていくようで微かに吐息を漏らしながら彼の肩を掴む指先を僅かに震わせる。自分の中に初めて芽生えるほんの少しの“欲”に恐怖を感じれば先程より強く彼の肩を押して無理矢理離させて。「──っ、だ、だめですよ。カルマさん。こういうことは、大事な人と想いが通じ合ってするものです。────ああ、そんな顔なさらないで。」僅かに乱れた呼吸を整え、口から出たのはまるで聖書の言葉通りで浅はかなもの。彼が真剣なのは何となく伝わって突き放すような言い方をしてしまったことに悔いりながらも、彼が真剣だからこそ伝えねばならないと。両肩に置いていた手を彼の頬へと包み込むようにして伸ばし嫌いにはなってないと安心させるように微笑んで。「ごめんなさい。私は闇に堕ちることはしたくない。私の望みは、私の中にあり私自身で叶えるものです。……カルマさん。私は闇に堕ちず、本来の私で貴方と向き合い、友人でありたいのです。それで貴方の心が満たされないと言うのであれば、貴方の心を満たす別の方法を一緒に探してみませんか?……そうですね、強いてカルマさんに叶えて頂ける望みを言うならば、これからも変わらず会いに来てほしいです。…あ、でもこれは駄目ですからね。」落ち着きある穏やかな声色からは先程自分の中に芽生えた欲も恐怖も消えていて、ただ彼を安心させたくてその心に寄り添うように言葉を紡ぐ。最後に指先で相手の口元にぴとりと触れれば小さく笑い、彼の指通りの良い黒髪をあやすように何度か撫でた。そして一つ思い至ったように彼の髪に触れたまま、そうだと声を上げて、「あの、お願いついでにその薔薇を頂けませんか?実は先日カルマさんが残していった羽根もとってあるんです。とても魅力的だったのでなんだか捨てるのは勿体なくて…。」ベッドの上に転がる黒く染まった薔薇を横目にすぐ彼へと目を合わせれば答えを待つも、夜も深い。いつも寝ている時間なだけに若干の睡魔が襲ってくれば目をしばたたかせ。「いけませんね…。カルマさんとのお話は楽しいのに。…日の昇る時間に会えればいいのですが。」本や言伝えの中には悪魔は日の明かりが苦手と記すものもある。実際のことは知らないにしても、人目の多い日中は彼を人間の好奇な目と反感から危険なめに合わせてしまうかもしれない。人がまず立ち入らない森の中でなら会えるだろうかと考えながら、また無意識に彼の触り心地のよい髪を撫でていて。)
(/励みになるお言葉嬉しい限りです!今回変に長くなってしまいすみません…。省いて頂いて大丈夫です。そして悪魔の血の味ですが勝手に人とは違うことにしてしまったのですが良かったでしょうか…?もし不都合があれば訂正してくださいませ。そして今後の展開なのですが、どこかで悪魔祓いを出す話を入れて二人の関係を揺るがすか、近づけるかしていきたいなと考えたのですが、どうでしょうか?例えば、リュカが悪魔祓いにカルマくんの居所や名前を聞かれて黙秘するけど、悪魔祓いが自力でリュカしか知らないはずのカルマ君の名前を知って、カルマ君を祓おうとするとか…。あやふやですしあくまで提案なので不備や、もし許してくださるなら他のシナリオや設定あれば主様のトピですし遠慮なくおっしゃってください!!長々と煩い本体ですみません/汗)
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