悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
通報 |
カルマさん…。わたしはリュカ・ヤニスと言います。よろしくお願いします。
(彼の名前を復唱し名を明かせば緩やかに微笑みお決まりの挨拶を添える。しかし内心少し軽率だったなと反省していた。本当の名を誰にも明かしたことがないと言う彼。そこで悪魔祓いの存在がふと浮かぶ。実際に会ったことはないが知識として名は悪魔を縛るのに非常に強い効力があると聞いたことがあった。彼は、悪魔払いに会ったことがあるのだろうかとスープを物珍しげに見る様子をそっと見て。「それにしても、大切な名を私に初めて明かしてくれるなんて、…喜んでもいいのでしょうか。貴方が許してくれるならこれからは名前でお呼びしてもいいですか?」名前を呼ぶ。当たり前のことだが、名前には不思議な力がある。愛を囁くときも怒るときも、呼び止めるだけのときも、名前があるだけで気持ちがより籠もる気がするのだ。彼は、他人に今まで名を呼ばれたことがないということだろうか。独り、だったのだろうか。寂しい気持ちはなかったのか。名を呼ばれる喜びを知ってほしいと、そう願えば少し遠慮しながら、それでも期待を込めた眼差しを彼に向けた。そしてスープをゆっくりと口に運び、味わう様子、その感想にもしかしたら人の食べるものは初めてだったのかと察するが、彼の表情を見て安堵しこちらも温かな気持ちになれば微笑みを浮かべ。それでもどこか不安げな様子は可愛らしくも見え、ふと弟が生きていれば(見た目は)彼くらいの歳だろうかと。「お口に合ったのでしたら良かった。あ、でももし体調を悪くしたら言ってくださいね。…人のものは初めて食べたようでしたから。」彼のお腹の調子を心配しながら言えば、あることに気が付きそっと席を立つと彼の元へ近づき身を屈めるとゆっくりと手を伸ばして彼の口元をそっとなぞる。「ついてましたよ。」と指先についた小さな野菜の切れ端を見せながら、どこか幼い子供を見るような優しい目で彼を見ては、やっぱり彼の目は綺麗な色をしているなと、微笑みは浮かべたままで。)
トピック検索 |