悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(唇に温かいものが触れた、ゆっくりと手を引っ張られそれに沿うように膝をあげる。言葉遣いもその喋る方も相手の事を隅々まで考えたその立ち振る舞いもすべてが神のような存在だ。欲望もなく白い無垢な一輪の花のように穢れを知らない彼はこんな自分にさえ優しく接してくれている。今まで契約をしてきた人間は欲望や私利私欲に塗れた醜い顔をしていた、まぁそんな人間を糧にしている自身も十分に醜い存在だがそんな紛うことなき黒にもこの白は優しく裏の無い言葉をくれる。ふと相手から問われた質問に答えようと口を開いた、だが理由という理由など特にない貴方に会いに来ただけというのも何処か不自然で相手から部気味がられるかもしれない。顎に指を添えゆっくりと息をつくと少し考える仕草を挟みつつ「単刀直入に言わせてもらう、貴方を此方側へスカウトしに来た。」間違った事は言っていない。こらがここに来た第2の理由になっているのだから、神父様の力は此方へ来ても十分に通用する。悪魔へと転生しその有望な人脈を利用すれば多くの人間を絶望へ、欲望へと導く事も簡単な事になるだろう。それに、悪魔と神父よりも悪魔と悪魔の方がもっと深く誰にも邪魔されず自分のものになる相手を考えるとゾクゾクと胸が高鳴るのを感じる。悪魔は小癪で残酷なのが定義だ、そんな自分を変える気は無いし易々とチャンスを逃すこともしない、「…さぁ、俺と契約して?貴方のその真にある欲望を見せて、」これは悪魔が人間を誑かす手口、人間誰しも内側には欲望や憎悪を抱えているものだ。神聖な彼にもそれはきっと存在するはず、耳元で囁くような心を揺さぶる声色で誘惑する。「───堕ちてきて。」ペロリと目元から頬へと吟味する様に舐めて、自身の長く細い尻尾を彼の腕に絡ませた。蝋燭の炎が激しく自身の存在を主張するように煌々と燃えて、2人を包み込んだ。)
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