悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(暫しの間退治している像は動く筈がなく、ゆっくりと瞬きを繰り返すと髪をかきあげた。この時間帯この教会の神父様も寝ているのだろう、少し遡ること四日前自分はこの協会に来たことがある。でも、それは此処を破壊し神父を簡単に言えば殺す予定だったのだ、人間の魂が食えないと通達があったのが2週間前空腹と苛立ちとで頭も混乱していた。今は大分なれてきて人間との契約の代償でなんとか紛らわしているのだが、あの時の空腹は何かを壊し発散することでしか沈める方法がわからなかった訳で、あの時神父様を見た時に自分の人生に色が灯ったような気がした。自身と同じ黒髪に宝石の様な美しい藍色の瞳を持ったその人に恋をしてしまっていたのだ。それからのものひっそりと教会に訪れては神父様の横顔を見て満足していたのだが、この日はふらりと夜中の教会へと侵入しあわよくば神父様の寝顔を堪能するつもりが運悪く出かけていた様子。大人しく今日のところは帰ろうかと扉へ歩みを進めればそれとは反対に扉子閉まる音が耳へと届き、反射的にそこに目線が集中する。驚きと警戒心からかギロりと睨むような形で体を向けると、蝋燭にぼんやりと照らされて立っていたのは愛しき神父様。見間違えるはずのないその姿、その声、こんな形で遭遇するとは思わず反応が遅れてしまっていた。優しく耳の中へと吸い込まれるような落ち着いた声、次に発せられた言葉はなんとも意外な、日常での会話の一部をも思わせるもので自分としても肩透かしをくらった気分だ。これも神父様の慈悲深い心なのか単に優しすぎるだけなのか───フフッと笑みを漏らせばゆっくり唯ゆっくりと歩み寄った。優雅に流れるようにそこへと跪けばそっと手を取り微笑んだ。「はじめまして、優しい神父様。」紅く、赤く、渦巻くように輝る瞳を黒と藍色と相見えるその瞳へと絡めキスを落とした。)
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