悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
通報 |
(握られた手は温かいのに彼の口から出た言葉は頭を脳を冷やした。違うんだ、そうじゃない…喉元まで出た言葉は硬い塊になって喉に詰まり息を吸っている筈なのに冷たい水中に突然放り込まれた様に息がしずらい、───ヒュ。喉から聞こえる不快な音に紡ぎ止める為なのか掴まれた手は自然と振りほどいていた。リュカが意図して先程の言葉を言った理由はなんとなく分かっているのに、自分を思っての発言と過去のトラウマからだろうか遠ざける言葉とそれと真逆の行動は怒りよりも悲しさと、自分を頼ってくれなかったと不甲斐なさが出たのかきっと今の自分は酷い顔をしているだろう。それでも逸らさない目線は、リュカの瞳の奥何を恐れているのか綺麗な目の奥に佇む檻を見詰めていた。彼を出して上げたい、欲望を憎悪等ないように振るうもきっとその檻に無理矢理に押し込んで自身さへも偽り続ける。「…リュカ。俺はリュカみたいな優しさも無ければ、神父でも無ないし、リュカが進行する神でもないよ。だから、今から俺がすることはリュカにとって最悪な事だけど俺は悪魔だから…こんなやり方しか分からない。」そう言って目を瞑れば、自身の背後から漆黒の闇を出現させた。蛇みたいな身体をしなやかに動かしてリュカの身体にまとわりつくそれは彼の動きを制限し無理矢理だが膝を付かせる体勢を取らせて。自身は目の前に佇み、にやりと口角を上げた。「───俺が壊してあげる。」低く響く声で、彼の目を自身の掌で覆えば短く呪文を詠唱して、そっと彼の目元から手を退かし。声は高く、背は小さく、彼の記憶の元から造られたその姿は相手の家族。死んだ筈の弟の姿で、ニッコリと微笑んだ表情で彼を見ていた。)
トピック検索 |