悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(白い息を吐きながら、掛けられる言葉に心が震わされた。心の奥底にある冷たく惨めな苦しい気持ちは今この時だけは蓋をしよう、また闇に足を取られても彼の声とその温かな手に触れればいつかこの感情も溶けきるだろう。確信もないし根拠もないけど重く心に推し乗っていた何かを彼はこうも簡単に取り除いてくれた、抱き着いた相手の身体が離れた瞬間首に感じる重圧感と───チャリッと金属が擦り合う音が聞こえ真下をむいていた目線を向けるとそこにはネックレスがあって。突然のことだきょとんとそれと彼を交互に見渡せば、そっと触れて。シンプルなデザインだが十分な存在感を出すシルバーのネックレス。それに自分を大切だとも言ってくれる彼に優しい口付けをされ心はこれ以上無い程の熱を出し続けて、顔にもそれが辿るように広がっていく感触に恥ずかしくなり再び目線を背けてしまっていた。彼の首元に隠すように顔を埋めるも嫌だという訳ではないと背中に手を回して。「…ほんと、リュカはずるい。」あんな表情でその愛おしい顔で、あんな言葉を掛けられれば嫌でも相手の好意を真正面から受け取ってしまうじゃないか。慣れない事にどぎまぎする自分に羞恥心が襲うも、ゆっくりと首元から彼のその瞳に沿って顔を上げれば「……リュカ。これが何度目かはもう分からないけど。俺はリュカの事が好き…友人としてじゃなくて。──愛してるって意味で。」相手の鼓動が聞こえた、それが鼓舞するように自然と出た微笑みと上記の言葉を告げた。)
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