悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(────パタン。扉の閉まる音だろうか、夢の世界から呼び戻されたその音に微睡んでいた意識が掬いあげられるようにゆるりと瞼を開けた。足音が此方へと近づいてきて最初にめで捕らえたのは彼の姿、外に行ってきたのだろうか厚手のコートを纏った彼は鼻先を少し赤くして荷物をテーブルへと置くその様子を見届けて。起こしてくれれば荷物持ちくらい手伝ったというのに…起こさなかったのはきっと自分に彼が気を使ってくれたからだろう、いつの間にか掛けられていた毛布を引き摺りながら起き上がりソファーから離れて、後ろからゆっくりと彼を包み込んだ。案の定見事に冷えきっている彼の体に触れて残っていた眠気は直ぐに飛んでいって「おはよう。リュカ、もう傷は完全にいいみたいだね。」先日までベットで寝ていた彼の回復速度は目を見張るものだった、どちらかというと魔力をいきなり体に入れたせいなのか自分の方が彼よりも回復するのがやや遅かったようにも感じ、未だにあの日以来この家の外には出ていない。腕の中の彼を抱き締めたまま窓の外に目をやれば白くチカチカと内容の光を反射して普段の景色と異なるそれが気になり駆け寄ると。白い、真っ白な外の風景はとても神秘的で時折光を反射するその姿は眩しくも感じるが見事に積もった雪に目を見張った。何度目だろうな長生きの悪魔にとっても雪はそう何回も見れるものでは無い、久々に見た雪はやはり美しく。「…雪だ。」彼が寒そうに帰ってきたのにも納得が行く。その美しい景色に目を向けたまま上記の言葉を短く呟いた。)
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